Vol.207 メンタルヘルス

非正規雇用者がさらされる環境によるストレスのリスク

ダイヤル・サービスのハラスメント相談窓口には、心身の不調を抱えた人からも相談が寄せられます。なかには「休職すると今後のキャリアに影響するのでは」などと不安を抱き、どうすべきか迷う人もいます。特に契約社員や派遣社員など非正規雇用で働く人は、このような不安を抱えやすい立場にあります。休職制度は法律上の義務ではなく、制度の対象や内容を会社が任意に定めることができるためです。実際に「退職させられてしまうのでは」「派遣元から仕事を紹介されなくなるのでは」といった声もあります。

昨今、メンタル疾患のひとつである「適応障害」という言葉を耳にすることが珍しくなくなりましたが、その原因や症状、対処法についての理解は十分でしょうか。適応障害は、その傷病名から、その人の適応能力に問題があるように思うかもしれませんが、実は、環境の変化などがストレスとなって発症する点に特徴があります。この“環境”には、人間関係や業務内容、業務量なども含まれます。ハラスメントといえるような状況があれば、適応の困難さはさらに増すでしょう。環境のストレスにより、気分の落ち込みや不眠、出勤前の動悸、手の震え、吐き気、頭痛、腹痛など、心身にさまざまな症状が現れることがあります。

環境が原因なので、環境面の負担を軽減・除去することで症状の改善が期待できます。その対処法の一つとして、休職などで一時的に環境から離れる措置を取ることがあります。ただし、同じ環境に戻れば再発の可能性があるため、職場にも負担軽減・除去の配慮が求められます。

非正規雇用者は、職場で上位者の指示を受けて働くことが多く、ハラスメントを受ける側になりやすい面があります。また、短期雇用で職場が変わる場合には、そのたびに新しい環境への適応が求められます。さらに「雇用不安」のリスクも伴います。厚生労働省の「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、約5~6割の非正規雇用者が「強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある」と回答しています。その事柄に「雇用の安定性」を挙げる正規雇用者が5.8%なのに対し、契約社員は23.9%、派遣労働者は40.6%と大きな差があります。職場環境にストレスを感じても、「雇用の安定性」に不安があるなかでは、我慢をしてしまう可能性が高まるでしょう。我慢しつづけることは心身の不調の悪化につながるため、結果として就業継続が難しくなることが考えられます。

総務省の「労働力調査(基本集計)令和8年6月分」によると、役員を除く雇用者5899万人のうち、非正規の職員・従業員は2157万人で、36.6%を占めます。約3人に1人が非正規雇用であり、その労働力の重要度は非常に高いと言えるでしょう。働き方が多様化するなか、非正規雇用者がさらされている環境リスクについて多くの方に認識していただき、大切な労働力を失わない対策にお役立ていただければ幸いです。

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