Vol.29 労働制度・権利

ハラスメント研修とは?ハラスメントの種類や研修内容、効果的に研修を行うためのポイントを網羅

2023年11月16日

―ハラスメント研修とは何か?ハラスメントの意味や種類、ハラスメントを事前に防止するためのポイントについて解説―

改正労働施策総合推進法により、2022年4月からすべての事業主にハラスメント防止措置の設置が義務付けられました。ハラスメントの相談件数や、労災として認定される件数も年々増えており、企業はハラスメントを防止し、適切に対処する体制を整える必要があります。
また、現在はハラスメントが問題となっていない企業においても、問題が明るみに出ていないだけであったり、今後ハラスメント事案が生じる可能性も考えられます。
この記事では、ハラスメント防止策の一つであるハラスメント研修について、ハラスメントの種類や研修の内容、ハラスメントを事前に防止するためのポイントなどを解説します。

ハラスメントの意味・ハラスメント研修とは

「ハラスメント」は、日本語には「嫌がらせ」と翻訳されることが多い語です。一般的にハラスメントとは、同じ職場の人間に対し精神的・肉体的な苦痛を与えて嫌がらせを行うことを指し、セクハラ、パワハラ、マタハラなどがよく知られています。
ハラスメント研修とは、ハラスメントへの従業員の問題意識を高め、未然に防止したり、発生した際の対処を学んだりするためのものです。

ハラスメント研修の必要性

ハラスメント研修は従業員の就業環境を守るために必要であり、2022年4月1日にはパワーハラスメント防止措置が全企業に対して義務化されました。現在罰則規定は設けられていませんが、ハラスメントを抑止するために必要な対策を講じないと、行政より指導や是正勧告が入る可能性があるほか、それによる改善が見られなかった場合は企業名が公表されることがあります。

【事業主の責務】

1)職場におけるハラスメントを行ってはならないこと、その他職場におけるハラスメントに起因する問題に対する自社の労働者の関心と理解を深めること
2)自社の労働者が他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修その他の必要な配慮をすること
3)事業主自身(法人の場合はその役員)が、ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと

【労働者の責務】

1)ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと
2)事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること

※ 取引先等の他の事業主が雇用する労働者や、求職者も含まれます。
参考:職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!

近年では、労災認定されるハラスメントの件数も増加傾向にあります。厚生労働省の発表する「過労死等の労災補償状況」によると、2020年度には99件、翌年2021年度には125件、2022年度には147件がパワーハラスメントによる労災と認定されており、セクシャルハラスメントに関しても補償の支給決定件数が増加しています。

従業員の職務環境を守るためにも、法令順守の観点からも、企業が積極的に研修を実施し、組織全体のハラスメントに対する意識を高めていく必要があるでしょう。

ハラスメント研修の目的・背景、対象者

⚫︎労働環境の改善
研修や講習を通じて従業員がハラスメントについて学ぶことで、労働環境が改善されることが期待できます。ハラスメントについての知識がないと、無意識の言動によって加害者になってしまったり、被害者になった場合の対応が分からず、苦しんでしまうこともあるでしょう。また、ハラスメントと取られることを恐れる余りに過剰に相手に気を遣い、コミュニケーションが阻害されてしまうことや、それにより人材が定着しないことも考えられます。
ハラスメント研修によって、従業員はハラスメントを未然に防ぐことや、生じてしまった場合の対処を学ぶことが出来るだけでなく、一人ひとり異なる職場の人々を思いやり、尊重しながら働くことが可能になるでしょう。 

⚫︎従業員の意識改善
ハラスメント研修には、従業員のハラスメントに関する意識を改善する目的もあります。
ハラスメントの意味や定義について学ぶことで、これまでの言動がハラスメントには該当しなかったか自省する機会になります。また、被害者になった場合はハラスメントの報告を行って次の被害を防ぐことや、ハラスメントが行われた場にいた時には証人となることなど、自らが組織の一員としてその問題の一翼を担うことが重要であるという意識を持つことにも繋がります。また、このように研修を受けた従業員が意識を改革することで、ハラスメントを許容しない企業文化が醸成され、企業としてのイメージアップも期待できるでしょう。

⚫︎社会的リスクの回避
研修によってハラスメントを未然に防止すること、ハラスメントが生じたとしても迅速かつ適切に対応する体制を整えることは、企業としての信用の失墜を防ぐことにも繋がります。
ハラスメント被害者による訴訟リスクや、メディアによる報道に限らず、昨今は誰もがSNS等で拡散することも可能です。そうなれば、取引先や顧客からの信頼を失いかねないだけでなく、新規の採用が困難になったり、離職率が上昇したりなどの悪影響も考えられます。

⚫︎企業の社会的責任の履行
近年、企業の役割と責任は大きく変化し、単なる利益の追求だけでなく、社会的責任も強く求められるようになりました。消費者はこれまでになく倫理的なビジネス実践に対し好意的な反応を示し、そういった企業の製品やサービスを選好しようという動きが強まっています。
ハラスメント研修を行い、組織の倫理的な取組を強調することは、企業の競争力を上げることにも繋がるでしょう。また、それは他の企業に向けて積極的な行動を促し、社会全体がより良い方向へと向かう後押しにもなります。

⚫︎ハラスメント研修の対象者
ハラスメント研修の対象者は、非正規雇用の従業員やパート・アルバイトを含む、すべての従業員です。しかし、その立場によって管理者向けのプログラムや、一般従業員向けのプログラムなど、内容が分けられることもあります。

ハラスメントの種類、特に職場で起きやすいハラスメントについて

厚生労働省が行った調査によると、職場で最も起こりやすいハラスメントは、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメントでした。以下ではハラスメントの種類や意味について解説します。

⚫︎パワーハラスメント(パワハラ)
パワハラとは、職場や社会的な環境において、より強い権力や影響力を持つ者が、部下などの自分より立場が弱い者に対し、業務上必要な範囲を超えて不適切な言動や態度を取り、精神的・身体的な苦痛を与えることを指します。具体的には、暴行などの身体的な攻撃や、侮辱や脅迫などの精神的な攻撃、無視などの人間関係からの切り離し、業務上不要であったり不可能であることの強制、逆に全く業務を与えないことや、権力を利用して私的なことに過度に介入することなどが挙げられます。
指導とハラスメントの判別については、状況や双方の意見などを鑑みる必要がありますが、相手の成長を促す適正な業務指導に関しては、ハラスメントには該当しません。。しかし、業務上必要なことで相手の成長を促す場合でも、大勢の前で過度に罵倒したりすることはパワハラになり得ます。

⚫︎セクシャルハラスメント
セクハラとは、職場において他の者を不快にさせる性的な言動を指します。性的な言動とは、性的関心や欲求に基づくものであり、性別により役割を分担すべきとする意識に基づく言動や、性的指向・性自認に関する偏見に基づく言動も指します。
具体的な言動として、性的な関係を強要したり、許可なく身体へ接触すること、食事やデートへの執拗な誘いや性的な内容の情報を流布すること、相手の容姿や年齢、身体的特徴を話題にすることなどが挙げられます。
男性から女性、女性から男性という異性間だけでなく、同性間であっても上記のような言動を取った場合はセクハラに該当します。

⚫︎マタニティハラスメント
マタハラとは、妊娠・出産・育休等に伴う事由を理由として、解雇や降格などの不利益な扱いをすることを指します。男性の場合はパタニティハラスメント(パタハラ)と呼ばれたり、育児に関するものは育児ハラスメント(イクハラ)と呼ばれることもあり、育児・介護休業法によって違法とされています。
以前から仕事能力が不足していたり、会社の経営状況が悪化したりなどの理由ではなく、妊娠・出産・育児休業等による事由を契機として不当な扱いを行った場合がこれに該当します。

妊娠・出産・育休等に伴う理由不利益取り扱いの例
・妊娠・出産
・産前・産後休業、育児休業
・つわり、切迫早産などで仕事ができない、労働能力が低下した
・時間外労働、休日労働、深夜業をしない
・短時間勤務
・子の看護休暇

など
・解雇
・雇止め
・降格
・減給
・昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う
・仕事をさせない、もっぱら雑務をさせるなど就業環境を害する行為をする

など

参考:厚生労働省・都道府県労働局

⚫︎介護休業等ハラスメント(ケアハラ)
ケアハラとは、働きながら家族の介護を行う人が、介護休業等の企業の介護と仕事を両立するための制度を利用しようとすることを妨害・阻止すること、介護休業等の申出・取得等を理由に不利益な取り扱いをすること、嫌がらせを行ったりすることを指します。
不利益な取り扱いには、解雇や雇止め、降格や減給などが挙げられ、嫌がらせには介護休業を取得した従業員に仕事を与えないことなどが挙げられます。
妊娠・出産・育児休業と同様に、介護休業についても男女雇用機会均等法及び改正育児・介護休業法によって保証された権利であるため、それを侵害することは法令違反となります。

⚫︎モラルハラスメント(モラハラ)
モラハラとは、言動や態度などによって、働く人の尊厳を傷つけたり、肉体的・精神的に傷を負わせることを指します。フランスの精神科医によって提唱された言葉であり、フランスにおいては、日本におけるパワハラもモラハラと呼ぶなど、非常によく似た概念です。しかし日本では、パワハラは職場における権力を利用して生じるものを指し、モラハラは職場だけでなく家庭や友人間など、プライベートな関係においても発生しえるものとして区別しています。
詳しいパワハラとモラハラの違いについては、こちらの解説記事をご確認ください。

⚫︎アルコールハラスメント(アルハラ)
アルハラとは、飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為、人権侵害を指し、上下関係や伝統を理由としたり、はやしたてたりすることで、本人の望まない形で飲酒を強要することを言います。また、酔った状態で行う悪ふざけや迷惑行為などもこれに該当します。また、飲めない人への配慮を欠いて飲酒を勧めたり、飲めないことを揶揄したりすることもアルハラとなります。

⚫︎ワクチンハラスメント
ワクチンハラスメントに関しては現在明確な定義がありませんが、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が推奨される中で生まれた言葉で、ワクチン接種の強要や、接種をしない人に対する解雇などの不当な扱い、嫌がらせ等を指します。
厚生労働省は、ワクチン接種は推奨されるものの強制ではなく、副作用のリスク等を鑑みた上で個人の意志によって行われるものであること、医学的な事由により接種を受けられない人もいることを念頭に置くべきであることを強調し、不当な差別的扱いや嫌がらせを受けた人に向けた相談窓口を設置しています。

⚫︎ロジカルハラスメント
ロジハラとは、過剰に強く正論を突きつけて相手を追い詰める行為を指します。相手の状況や能力などに配慮せずに一方的に論破するのではなく、相手の受け止め方にも配慮することが必要です。

⚫︎スメルハラスメント(スメハラ)
スメハラとは、体臭や口臭、タバコや香水の匂いなどによって周囲に不快感を与える行為を指します。多くの場合本人には自覚がなく、指摘しにくいのが問題です。
悩んでいる人が相談できる窓口を設置したり、個人ではなく全社に向けてスメハラへの注意喚起を行うなどの配慮ある対応が求められるでしょう。

ハラスメント研修の内容

ハラスメント研修は、従業員の立場や、研修の目的によって内容が異なります。以下では、実際にダイヤル・サービスで行っている管理職向けの研修と、一般社員向けの研修の内容について説明します。

⚫︎管理職向け研修
管理職向けの研修では、以下のような内容が実施されます。
①ハラスメントの基礎知識
 ハラスメントが起こりやすい要因や、ハラスメントが当事者と職場にもたらすダメージ、法的リスクなどについて学びます。
②ハラスメントの種類と内容
 セクハラやパワハラ、マタハラなどのハラスメントについて、具体例や判断基準などの基礎知識を獲得し、防止策を学びます。
③事例検討
 「パワハラ被害を訴える部下から相談を得た」などの事例を設定し、管理職としてどう対処するか、グループディカッションを行います。
④管理職の役割
 管理職として、働きやすい環境を作るためのポイントや、パワハラにならないための指導方法、コミュニケーション方法などについて学びます。
⑤「行動宣言」
 その日学んだことを職場内で生かすために何が必要か、ただ頭の中で考えるだけでなく、実際にグループワークのメンバーに伝えることで、実践を促します。

⚫︎一般社員向け研修
①ハラスメントの基礎知識
 ハラスメントが起こりやすい要因や、ハラスメントが当事者と職場にもたらすダメージ、法的リスクなどについて学びます。
②ハラスメントの種類と内容
 セクハラやパワハラ、マタハラなどのハラスメントについて、具体例や判断基準などの基礎知識を獲得し、防止策を学びます。
③事例検討
 「パワハラ被害を訴え、心身面の不調に陥る同僚から相談を受けた」などの事例を設定し、どう対処すべきか、グループディスカッションを行います。
④予防・再発防止の心構え
 働きやすい職場環境をつくること、相談できるリソースを活用することなど、ハラスメント防止のための心構えを確認します。
⑤「行動宣言」
 その日学んだことを職場内で生かすために何が必要か、実際にグループワークのメンバーに伝えることで、実践を促します。

ハラスメント研修を行った方がいい企業とは

ハラスメントは、業界や業種、規模に関係なく、あらゆる組織で発生し得る問題です。よって、ハラスメント研修はすべての企業・組織に必要でしょう。
職場でハラスメントが発生すると、被害者―加害者間の関係や周囲の人間の職場環境が悪化するだけでなく、訴訟リスクや賠償責任を負うこと、企業としての名を落とすこと、従業員のモチベーションや生産性の低下など、様々な損失を被ることになります。それを避けるためにも、ハラスメント研修によって従業員の意識を高め、ハラスメントの発生を未然に防止する必要があります。

ハラスメント研修の方法、流れ

ハラスメント研修には、対面で行う外部講師による社内研修と外部での研修、e-ラーニングで行うオンライン研修と動画視聴による研修があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社に最も適したものを選択すると良いでしょう。以下解説します。

⚫︎ハラスメント研修の方法

メリットデメリット
外部講師による社内研修・専門の講師による自社に合った内容の研修が受けられる
・内部講師よりも社内準備に手間がかからない
・講師代がかかる
外部研修・研修場所の確保などを社内で準備する必要がない・受講費と交通費がかかる
・自社に合った内容とは限らない
オンライン研修・時間や場所を選ばず、従業員の負担が少ない・オフラインよりもコミュニケーションが難しい
動画研修・時間や場所を選ばず、従業員の負担が少ない
・費用を抑えられる
・ロールプレイなどの実技を伴う研修は難しい
・従業員同士の意見交換ができない


⚫︎ハラスメント研修の流れ
ハラスメント研修の流れは、①基礎知識の学習、②事例検討、③予防の心構え、の3段階に分けられます。①の基礎知識の学習では、ハラスメントの種類や発生要因、法的リスクについて学びます。②の事例検討では、ケーススタディを通じて、多様な価値観を持つ周囲の人とともにハラスメントの捉え方について考え、対処法を学び、ハラスメントの問題解決能力を向上させます。③の予防の心構えでは、自身がハラスメント当事者にも第三者ともなる可能性を考え、予防のための心構えを確認します。

ハラスメント研修を成功させるコツ

ハラスメント研修の効果を最大化するには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここではハラスメント研修を成功させるコツを紹介します。

⚫︎目的や目標を明確に設定する
ハラスメント研修において目的を設定することは非常に重要です。受講者である従業員に、研修の目的と重要性を示し、明確な方向性を与えることは、彼らのモチベーション向上につながり、研修に積極的に参加する可能性が高まります。研修を行う前に従業員にアンケートを取るなどして、その組織に合った目的を設定すると良いでしょう。
また、目的を設定することで、研修成果の評価もしやすくなります。

⚫︎当事者意識を持たせる
ハラスメント研修は、受講者が当事者意識をもって参加することが大切です。研修内容について他人事に思ってしまうと、学習効果も高まりません。組織に合ったリアルなケーススタディに取り組んだり、自身の言動を省みる機会を提供したりすることで、誰もが当事者になり得ることを知覚できるでしょう。
ダイヤル・サービスは、企業の内部通報の外部窓口として日頃から多くの相談をお受けしているノウハウを生かし、各企業様の現状に合わせた検討用事例を作成することを得意としております。それぞれの企業様や研修項目に合わせた、身近に感じられるグループワークの内容を設定することで、研修を実際の業務と結び付けて考えやすくなります。また、実際の業務を想像しながら各グループで事例検討を行うことで、現場に見られる問題を見つけることができたり、日頃から感じている疑問を引き出せたりし、研修内容がただの知識ではなく業務の中で役立つ知識になります。年間4000件の通報・相談を受ける当社のベテラン相談員が講師となり、受講者の皆様の学びをサポートいたします。
また、経営層、管理職、一般職に向けた職務階層別の研修に限らず、企業の窓口担当者様を対象とした研修も承っております。相談業務に必要な、相手の話を「傾聴する」スキルを、グループワークを通して訓練し、講師が都度改善点や注意点を指導することで、より実践的なスキルを身に付けることができます。

⚫︎他者との考えや価値観の違いに触れる機会を提供する
ハラスメントは、個々でその認識が異なる複雑な問題です。個人の価値観や経験、文化的背景によって、何が受け入れられ、何が不快に感じるかは異なるため、ハラスメントに対する捉え方も人によって大きく変わります。それによって、自分にとっては問題ない言動が、相手にはハラスメントと取られてしまうこともあります。
グループワークやディスカッション、ロールプレイなどで、それぞれ異なる背景の人々の考えや価値観に触れ、理解や共感を育むことは、ハラスメントを未然に防ぐための効果的な手段です。

⚫︎ハラスメントにならない指導方法についても説明する
ハラスメントに該当する言動のみを列挙するのではなく、ハラスメントには当たらないものについても説明することが重要です。
同じ事案に対する対応であっても、言い方や指導の場が違えば、ハラスメントとなる場合も、適切な指導とみなされる場合もあります。どのような意識を持ち、どのような言動をとればハラスメントにはならないのかを、具体例を示しながら説明すると良いでしょう。

⚫︎研修内容のアップデートを行う
人々の価値観は時代とともに変化し、それに伴ってハラスメントの概念も進化しています。ハラスメントの種類や、何がハラスメントに該当するかは流動的で、新たな社会的・文化的な動向、法律の変更、多様性への理解の向上などに常に影響を受けています。最近では新型コロナウイルスのワクチン接種の推奨に伴って「ワクハラ」という言葉も生まれました。
このような変化に対応するためにも、定期的に研修内容は更新する必要があります。

⚫︎繰り返し行い、振り返りを行う
繰り返しハラスメント研修を行うことで、学習した内容を定着させ、従業員が日常の実践に結びつけることに役立ちます。また、その都度フィードバックを収集することで、次の研修の改善にもつながります。

ハラスメント研修で得たことを生かすために必要なこと

ハラスメント研修で学んだ内容を実践に移すためのステップとして、研修の最後には以下の内容を盛り込むと良いでしょう。

 ・自身の行動や態度の振り返りと評価
 ・自身の行動目標の策定
 ・学んだことを生かしたロールプレイやシミュレーション
 ・周囲との意見交換

ダイヤル・サービスで行う研修の最後には、必ず「行動宣言」をワークとして盛り込んでいます。その日学んだことを職場内で生かすために何が必要か、ただ頭の中で考えるだけでなく、実際にグループワークのメンバーに伝えることで、実践を促しやすくなります。
さらに、一定期間を空けてフォローアップ研修を提供して行動を振り返ることや、前述のように繰り返し研修を行うことも有効です。

ハラスメント防止措置の設置義務と事後対応のポイント

2019年に改正された労働施策総合推進法において、職場におけるパワハラやセクハラ、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて、事業主が防止措置を講じることが義務付けられました。以下義務となっている4点の防止措置とその内容について解説します。

事業主が雇用管理上講ずべき措置
1. 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
2. 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
3. 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
4. 併せて講ずべき措置(プライバシー保護・不利益取り扱いの禁止等)

企業はこれまで以上にハラスメントに対する厳しい姿勢を示しながら、ハラスメントが発生した場合に適切に対処していくことが求められます。

①の「事業主の方針の明確化」とは、ハラスメントを行ってはならないという方針を企業が周知・啓発し、行為者は厳正に対処するという旨の内容を就業規則等に明記することを指します。
②の「適切に対応するために必要な体制」とは相談窓口のことを指し、その存在を従業員に周知することや、ハラスメントに該当するかが微妙な場合でも相談に対応すること、窓口担当者が内容や状況に応じて適切に対応することなどが盛り込まれています。
③の「適切な対応」とは、当事者に加えて第三者からも事実関係を聴取するなどの対応を指します。
④には、例示されているプライバシー保護や不利益取り扱いの禁止等に加えて、被害者と行為者を引き離す/関係改善を援助するなどの措置や、被害者の労働条件上の不利益の回復などが含まれます。
より詳しい内容や事例については、こちらから確認できます。

また、最新のパワハラ防止法関連まとめについてもぜひご確認ください。

実際の研修事例ご紹介

ここからは、実際にダイヤル・サービスにて行った研修事例を紹介していきます。

職場のコミュニケーション研修
管理職と一般社員のコミュニケーションが希薄だという企業様からの要望を受け、グループワークは職位の違う社員が同じグループになるよう設定しました。事前に企業担当者様に行って頂いた社員へのヒアリングの内容や日々の相談事例をもとに、それぞれの立場の目線での検討事例をご用意しました。それぞれ職位が違う立場では、同じ出来事でも見え方が異なることを理解することで、互いのコミュニケーションのすれ違いをなくすことを目的とした研修とし、社員の方からは普段話すことのない社員と新鮮なコミュニケーションができたと評価を頂きました。

窓口担当者向け研修
当社の相談員2名が講師となり、窓口担当者としての心構えや相談者の話を傾聴するスキルを、デモンストレーションを交えて実施しました。良い対応、悪い対応を例示することで、窓口担当者として必要な対応のレベルを受講者に理解して頂きました。研修時間の半分は傾聴スキルのグループワークに充て、講師が各テーブルをまわり、都度改善点を指導しました。
受講者の方からは、普段窓口業務を担う上での不安や悩みに対する講師のアドバイスを受けて、以前よりも自信を持って窓口の業務を遂行できるようになったと評価を頂きました。

まとめ

この記事では、ハラスメントの意味や種類、またハラスメント研修の重要性やその内容について取り上げました。
ハラスメントは当事者だけでなく、職場全体に悪影響を及ぼす問題であり、その予防と対処には、各々の当事者意識と、組織全体として努力の継続が求められます。
ダイヤル・サービスでは、専門講師によるハラスメント研修を提供しています。自社の状況に即したカスタマイズや、オンラインでの受講も可能です。ハラスメント研修の実施を検討されている担当者の方は、是非一度ご相談ください。

参考サイト

職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!

令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査

厚生労働省・都道府県労働局

パワハラとモラハラの違い

職場におけるパワーハラスメント対策が 事業主の義務になりました!

最新のパワハラ防止法関連まとめ

ディアログ

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