組織の活性化と
働く人々の幸せを願い
一本の電話をつなぐ

企業倫理ホットライン

篠田 博子しのだ ひろこ

不正・違反、労務関連、ハラスメントなどに関する内部通報を電話でお受けし、ご契約企業様のコンプライアンス対策をサポートする相談員をご紹介します。

「個人の問題」を「組織の問題」として捉え、正しく報告

私が担当している「企業倫理ホットライン」には、不正・違反の通報はもちろん、ハラスメントなど人間関係に関する相談も多く寄せられます。一本の電話からより多くの情報を得られるよう、通報者の仕事環境など“背景”も想像しながら丁寧にお話を聴くことを心掛けています。電話のきっかけはハラスメントであっても、ふとした一言に経理不正やデータの改ざんなど“不正の芽”が潜んでいることもあります。例えば「上司から『大人の対応をしろ』と、強く言われた」といったケースがあります。ハラスメントの一例として上司から社内ルールに違反する行為を強要された時、通報者は上司個人の人間性に関して指摘しがちです。しかし視点を変えると、組織全体で「不正に目をつむれ」と圧力をかける風潮があるのではないか、という点が本質的な問題だと言えるでしょう。ハラスメントが起きやすい職場は不正が起きても表面化しづらいものです。そうした組織全体に影響する“氷山の一角”かもしれない情報を埋もれさせないことが重要な役割だと考えています。

通報者への応対と同様に大切にしていることは、報告書作成です。私たちは「一次受けの窓口」として、通報者の想いをきちんと受けとめると同時に客観的な事象を報告することが責務です。同時に、通報者と相談員のリアルなやりとりの中でしか捉えられない“ニュアンス”も存在します。また、通報者がその問題をどう捉えていて、どんな想いで仕事に臨み、どんな出来事があり、どう感じたからそれを見逃せないと思ったのか、という通報の動機も大切だと思います。通報者が用いた言葉を活かしつつ、報告書を読む企業の担当者が端的に状況を掴めるような報告書を作成することを心掛けています。

通報者との信頼を大切に

「企業倫理ホットライン」でお受けする通報は、通報者ご自身の努力や心掛けでは解消できない性質の問題が多くあります。早期解決に向けて、企業側のスピーディーな対応が必要ですし、そのために企業側の多くは実名での通報を望みます。しかし、通報者は、報復などの不利益な扱いを受けることを恐れて、匿名で、時には通報内容も企業に伝えないことを希望します。そのため、通報者の不安感を受け止めてから、お名前を出すのが難しければ、まず半匿名(私たち外部窓口にのみ名前と連絡先を残す方法)で伝えてみるのはいかがでしょうかと勧めてみます。もちろん、それでも匿名を希望すれば、通報者の意思を尊重します。通報者が、確実な対応を希望しているが名前を出すかどうか迷っている時は、「会社の担当者は、あなたを守ってくれるはずなので、担当者だけにでもお名前を出してみませんか?」と声をかけてみます。しかし電話だけの相手、しかも初対面の相手に名前や連絡先を明かすのは、普通に考えても勇気のいることです。電話の最後に「じゃあ、名前を出します」と言われたときは、私たちを信頼していただけたことの証ですから、やはりホッとしますね。

勇気を出して通報してくださった方のために私たちができることは、「すべて受けとめる」ということです。「すべて」とは、通報者が言葉以外で伝えたいこと、言葉の向こう側にある本当に伝えたいことまでを感じ取るということです。例えば、バイオリンやチェロを弾く時に使う弓のような存在でしょうか。どんなに小さな音やとがった音、そしてニュアンスも柔軟に受け止めて音楽に仕上げていく――私は通報者にとって、そんな、強くしなやかな弓でありたいというイメージで応対しています。

一人ひとりの通報が、よりよい組織づくりにつながることを願って

前勤務先では10年以上、人事担当者として組織活性化のための計画立案や実施、社員の教育研修業務などに従事していました。その経験が今の通報対応にも活きていると感じます。当時、トレーナーという立場で多くの社員の悩みを聴きながら、「この声を組織運営やマネジメントの改善・向上に活かす提案ができたら」とたびたび考えました。意欲や能力ある社員を失うことは、組織にとって大きな損失です。私たちが一人ひとりの通報を正しく報告することで、組織全体の活性化や不正が起きない仕組みづくりのお役に立てればと思います。

現在、コンプライアンス関連の通報窓口は、電話での受付が全体の約7割を占めています。携帯電話の活用度の高い若い世代を中心に、今後はWEB通報の利用も増えてくるでしょう。電話とWEBそれぞれの特性を活かし、通報者とクライアントが利用しやすいサービスを提供できるよう、時代の変化に合わせていきたいと思います。チームには様々な世代の尊敬できる仲間(メンバー)がおります。これからも、日々仲間たちと切磋琢磨しながら信頼していただける対応を心掛けてまいります。

Profile

しのだ ひろこ
大学卒業後、百貨店に入社。人事部にて教育研修、組織活性などの業務に従事。退職後、各種施設にて音楽療法やカウンセリングを行う。2004年ダイヤル・サービス入社。「企業倫理ホットライン」外部通報窓口を担当。