文字だからこそ可能な
相談者との対等な関係と
冷静な感情の紐解き

SNS相談(児童相談、教育相談、メンタルヘルス相談など)

大黒 舞香だいこく まいか

児童相談、教育相談、メンタルヘルス相談などを、国や自治体およびご契約企業様より委託を受けて、LINEアプリなどのSNSでお受けしている相談員をご紹介します。

子どもの親と対等な目線で話を聞く

私は、厚生労働省が推進する虐待防止プログラムの一環として、SNSを通じた相談による支援を提供しています。対象は、子育てに苦悩する親御さんやその子どもたちです。特に頻繁に相談を受けるのは、育児の難しさに心が押しつぶされそうなお母さんで、子どもに対して感情的になってしまうことを危惧している方も少なくありません。

SNSを通じて親御さんとコミュニケーションを取り、その心情を真剣に汲み取ることが私たちの主な役割です。育児の困難さを理解し、共感的に聴くことで親御さんが自由に心の中を話せる場を提供します。それを通じて信頼関係を築くことを大切にしています。

2〜3歳のお子さんが自己主張を始めた時、どのように対応すべきかと困る親御さんが多くいます。でも、子どもをコントロールするための絶対的なアドバイスなんて、実は存在しないんです。子どもたちも個々に意志を持つ一人の人間だからです。

親御さんに「どうしたらいいですか?」とアドバイスを求められた時、私は「あなたはどうしたいですか?」と尋ねます。おそらく親御さんの心の中には子育ての理想があり、その理想と現実のギャップが悩みを生んでいるのだと思います。だからこそ、親御さんが何を望んでいるのかを明らかにし、子どもとの相性も加味しながら実現可能な塩梅を、これまでの相談や経験から一緒に探ります。

例えば、子どもに罰を与えるべきだと感じている親御さんには、その気持ちを尊重しつつ罰を与える教育方法は長い目で見ると子どもにとって良くないし、その効果も続かないという事実を説明します。大事なのは親御さんが間違っているわけではなく、あくまでもその方法が効果的でないことを示すことです。そして、そうした視点から新たな育児のアプローチを提案します。

提案した方法を試してもらい、うまくいくようであればそれを続けてもらいますし、そうでなければより良い方法や新しいアプローチも再度一緒に模索します。
相談が進むにつれて、親御さん自身が自分の問題に気づくことが多くなります。それは「自分が心に余裕を持てていない」という自覚です。この時には私たちの役割は、親御さんがどのように余裕を持てるかを一緒に考え、サポートすることになります。心に余裕が生まれれば、自然と親子関係も良好になっていくはずです。

私に提供できるものは、瞬時に問題を解決する魔法のような答えではありません。それよりも親御さんの気持ちに寄り添い、共に考える存在でありたいと思っています。

文字で行われる相談の課題と可能性

SNSやチャットツールの対話は、電話や直接の会話とは少し違います。特に、口頭で話す代わりに文字に落とすときに生まれる課題とその可能性を感じています。

電話のように声で話すとき、相手の声の調子や感情が感じられますが、文字でのやりとりではそういった情報が伝わりません。だからこそ、意図をきちんと確認することが大切です。「これってこういう意味で良いんですか?」とか「さっきの話、こんな風に解釈して大丈夫ですか?」と確認することも多いです。

文字を使うコミュニケーションは気をつけなければいけないことの反面、魅力もあります。心の奥底の感情や声としては発しにくい感情を文字にして表現することができるので、そういった情報が重要なヒントになることがあります。「言い辛かった気持ちを教えてくれてありがとう」と、相手に感謝の気持ちを伝えることも忘れません。

お互いに相手と顔を合わせずに話せるので、思っていることを気軽に話せるメリットもあります。そういった特性をうまく活かして、これからも良いコミュニケーションを追求していきたいと思っています。

Profile

だいこく まいか
大学院卒業後、心理士として保健福祉センターや教育委員会に勤務。主に発達障害や不登校等の特別なニーズを持つ子どもとその保護者への支援を経験。2020年入社、教育相談や子育て・児童福祉相談の電話相談員およびSNS相談員として従事。

いじめ・教育・虐待相談ホットライン

子ども、保護者、教職員、地域住民のための相談窓口代行