導入事例

株式会社三和

事業内容

スーパーマーケットの経営
・生鮮食品の販売
・一般食料品および加工食品の製造販売
・和洋菓子、冷菓、パン、洋風惣菜、和風惣菜、中華惣菜、寿司等の製造販売
・酒類などの販売
・消耗雑貨、家庭雑貨
・文具、園芸用品、ペット用品の販売

ホットライン利用対象人数

約8,200名

不安を抱えた従業員が「一歩踏み出せる」そんな「心の駆け込み寺」となっています

創業以来、「食」を通じて「ライフスタイルの向上に貢献する」ことを追い求め、東京町田や多摩、神奈川県相模原市を中心に70店舗以上の地域密着型スーパーマーケットを展開する、株式会社三和。自社物流で鮮度の良い食品を提供するほか、良質で低価格な商品と豊富な品揃えで、地域住民にとって魅力ある店舗づくりを続けています。

同社の従業員は全事業所を合わせて約8,200人。そのうち約7,000人がパートナー社員やアルバイト、それに外国人労働者など、非正規雇用が占めています。どの雇用形態の従業員も等しく声を上げられる環境を整えようと、2022年4月からダイヤル・サービスの「企業倫理ホットライン」を導入。ここでは、ホットライン導入に至った詳しい経緯や、サービス活用状況について伺いました。

ダイヤル・サービスの「企業倫理ホットライン」を導入された経緯について、聞かせてください。

O様:私は2021年11月に当社に入社しました。入社後の最初の1ヶ月は、各店舗を回り店長を中心に従業員の皆さんからお話を伺いました。そこで、「雇用形態を問わず、いずれの従業員も等しく声を上げられる環境が必要」という考えに至りました。2022年6月に公益通報者保護法が改正されることも認識していましたし、そういったタイミングも重なって、会社としてしっかり制度設計の重要性に目を向けたのが導入のきっかけとなりました。

K様:今までは何かトラブルがあっても、私の会社用スマホや部の回線電話が鳴る、上長を通じて話が来るなど、直接的な対応が中心でした。また、パートナー社員やアルバイトの声が私たちの元に届きづらかったのです。やはり非正規雇用の皆さんが本部に直接連絡するというのは、ハードルが高いですよね。

O様:例えば人事教育部に相談があっても、相談内容の主管先が私たちの部署ではない場合は「ここの部署に連絡してください」とお願いをしていたのが実態でした。そうした中、今後より会社が発展していくためには、発生しているさまざまな問題を一元管理すること。そして、各部署と有機的に連携しながら、時代に合った制度をつくっていくことが重要だと感じたのです。

同業他社のサービスがある中で、ダイヤル・サービスを選ばれた決め手は何でしょうか?

O様:企業様ごとに打ち出すサービスの特色はあると思いますが、私たちが求めていたのは二つです。一つ目は、「通報者がサービスを利用しやすいこと」。ダイヤル・サービスさんは電話とオンラインでの対応が中心ですが、時間的な間口がとても広いと感じました。電話にしても、平日だけでなく土日・祝日も利用できる点は非常に魅力的と言えます。どうしてもシフト勤務になってしまう小売業なので、曜日を問わず利用できるのは大変助かります。

二つ目は、「サポート体制が充実していること」。相談窓口の方のスキルが高いだけでなく、さまざまな有資格者に対応してもらえる点が信頼できます。窓口だけで解決できないことを、法律の専門家と連携しながら対応してもらえるのも非常にありがたいと感じました。また当社は各センターも抱えていて、外国人労働者も多く在籍しています。ゆくゆくは外国語の間口を広げたいと思ったときに、幅広い選択肢があることは素晴らしいと思いました。さらに、通報の翌日に当社に報告書が来るというスピーディーさも魅力的ですね。

窓口だけで解決できないことを、法律の専門家と連携しながら対応してもらえるのも非常にありがたいと感じました。
O.T 様

二つのポイント以外にも、ダイヤル・サービスさんの営業を担当してくれた方の対応が良かったことも大きな決め手です。商談のアポイントをいただいたときから対応がソフトで、期待を裏切らないどころか、期待以上の提案をしていただきました。ニーズや希望を細かく拾っていただいただけではなく、何気なく発した一言についても覚えていてくださることも。お願いをしたわけではないのにもかかわらず、後日それに対する提案をしてくださったことには感動しました。

実際に導入してみて実感したのですが、私たちが直接対応するにはどうしても時間の制約もあったので、時間を問わずに通報者が自分の言葉で相談できるのも良いですよね。また、窓口の相談員さんが通報者の話を聞きながら、一番伝えたい主旨は何か、どういう着地を求めているかを引き出したうえで当社に報告をくれるのは非常にありがたいことです。

従業員がダイヤル・サービスの通報窓口を利用しやすくするために工夫したことはありますか?

O様:社内にとっては新しい制度になるため、「なぜ通報窓口を設けたのか」「どういう風に使ってもらいたいか」「誰が利用対象になるのか」を社内通達で発信するのと併せて、視覚的に訴えるためのポスターを作成し各事業所のバックヤードに貼り出しました。また、ダイヤル・サービスさんの営業担当の方から、企業倫理ホットラインの電話番号やQRコードを記載した名刺サイズのカードを従業員に配布した他社の事例を伺っていたので、当社で同時期に作成していたハンドブックに、制度の解説や電話番号、QRコードなどを掲載し、全従業員に配布することにしました。やはり、通報窓口の情報が手元にあるという安心感は大きいのかなと思っています。

K様:最初はポスターで掲示さえすれば皆の目に留まるだろう、と考えていました。しかし、ポスターの前でQRコードを読み取っている姿をほかの従業員に見られたら、通報をしようとしていることが周りにわかってしまいますよね。匿名で通報したとしても「あの人がやったのではないか」という噂が広まってしまっては、利用しづらくなってしまいます。なので、ポスターで周知をしつつ、手元のハンドブックにも連絡先を掲載することで、ほかの従業員に知られることなく利用できるようにしました。

O様:通報者は匿名か実名、半匿名を選択することができます。最初から実名を開示していただいている場合は、私の名前を名乗って連絡を差し上げ、ほかの従業員の目につかない休みの日などに職場外でお会いして、時間が許す限り話を聞くようにしています。匿名の場合は情報が限られているため、その後の対応はさまざまな方法を考えなければいけない難しさがあるのも事実です。

半匿名は、ダイヤル・サービスさんには通報者の名前と連絡先を残し、当社には個人情報を開示しない通報手段になります。半匿名を選択する人は最近増加傾向にあります。匿名で通報しても、その内容次第で「半匿名にしたほうが解決につながりやすい」ということを窓口の相談員さんが丁寧に説明してくださるので、通報者が途中で「半匿名に変えよう」という気持ちになるようです。

半匿名だと、私たちと通報者は名前を伏せたうえでシステム上でのやり取りが可能になります。多いときには6往復くらいやり取りしたこともあります。最終的には「やっぱり会って話したほうがいいよね」という空気になり、解決につながることもありました。最初から実名通報は敷居が高いですが、匿名から半匿名、そして実名と段階を踏んでいけるシステムは、すごく配慮がなされているなと感じています。

企業倫理ホットラインを導入して、どのような効果がありましたか?

O様:当初の想定では1ヶ月に数件のペースかなと思っていたのですが、導入した2022年4月が13件、その後も平均で14件の通報があったので、想定以上に従業員が利用している印象です。通報内容をカテゴリ別にみると、コンプライアンス違反が約55%、会社のルールに関する要望や要求、それ以外の問い合わせが約45%です。まだ通報者自身も、どういったシーンで通報窓口を利用していいのか、どういうシーンで上長に相談するのかというのを試行錯誤している状況だと推測しています。

印象に残っている通報はありますか?

O様:うまくいったと感じたのは、「上司からパワハラを受けている」という通報を受けたときです。ヒアリングしていくと、パワハラの実態そのものは確認できたのですが、その通報者自身にも気を付けなければいけない発言や態度などがあることが判明しました。上司と部下がより良い環境で仕事をするためにはどうしたらいいかと考えたときに、その事業所の所長が立ち会ったうえでの三者面談を実施することにしたのです。公平な立ち位置でお互いの言い分を話してもらった結果、何を正していくかを合意形成することができ、現在もその2人は同じ事業所で勤務しております。私たちが直接介入するだけがすべてではなくて、何か問題が発生した際に従業員自身が解決しやすい環境をつくることも大事なのだと考えさせられた事案でした。

別の案件で印象に残っているのは、一人の従業員が繰り返し通報したり、ある一人が複数の従業員から同時多発的に通報を受けたりといった“集中”が起きたことでした。さらに、一つの事業所内で一つ問題が解決すると、また違う通報が来るといった、「事業所の集中」もあったのです。実は根本的な問題はほかにあるのではないかというのが、上半期の課題として残りました。

スーパーマーケットという特性上、必要と考えている従業員向けのケアと、ダイヤル・サービスの制度はマッチしていますか?

K様:従業員はさまざまなお客様と接するので、ときにはクレーム対応で疲弊してしまうこともあります。ですから従業員のストレス緩和は非常に大事だと考えています。今までは上長を中心に個別に対応していましたが、こういったケースでも、従業員が企業倫理ホットラインに連絡をすれば窓口の担当者がじっくり話を聞いてくれるというのは大きな利点です。「通報」という役割だけでなく、ただ寄り添って話を聞いてくれる「心の駆け込み寺」という役割も担っていただいています。

「通報」という役割だけでなく、ただ寄り添って話を聞いてくれる「心の駆け込み寺」という役割も担っていただいています。
K.H 様

ストレスが爆発してしまうと、「自分はこの仕事に合っていないのではないか」とか「体力的にもう限界だ」とネガティブに考え始めてしまうこともあります。もし家族や友達に話してもなかなか理解してもらえなかったとしても、ダイヤル・サービスさんの相談員の方々は経験が豊富。今どういう言葉を求めているのか、もしくは何も言わずに聞いていたほうがいいのか、そういうことも察知してくれるのは、まさにプロの仕事ですね。

通報に対応するために、どのような社内体制を構築し、運用されているのでしょうか?

O様:企業倫理ホットラインを導入する際に、当社は窓口担当者となりうる10人のスタッフがダイヤル・サービスさんの窓口担当者向けの研修を受講しました。

窓口担当者向けの研修では、通報内容の事実確認に始まり、調査を進めるにはどういう計画を立てればいいのか、どう問題を特定して、どのような処分をしていくのか、といった「進め方」に加え、通報者に何を言ったらいいのか、何を言ってはいけないのかといった「留意点」、情報管理の仕方など、さまざまなことを学びました。そのうえで、誰が担当しても質の高い対応ができるように、学んだことを踏まえたフォーマットを社内で作成したのです。

ときには私たち人事教育部ではなく、総務部など違う部署が対応したほうがいいケースもあります。そういうときでも一旦私たちが通報を受けて、話を割り振るといったこともしています。また、社会保険労務士や当社の顧問弁護士などに、「こういう案件をこんな風に対応したいのだけれど、法的には問題がないのか」といった確認をしながら進めるときもあります。一つひとつの通報に対応する過程で私たちの経験値が上がってスキルアップにつながっている実感があります。

ダイヤル・サービスへの要望があれば教えてください。

O様:やはり私たちと通報者がやり取りできると解決につながりやすいので、窓口の相談員さんが匿名を希望した通報者に対して、半匿名の仕組みやメリットを丁寧に説明し推奨してくださるのは、電話ならではの良さだと感じています。電話窓口と同じことをWebの窓口でもカバーできるようなシステムがあればいいなと感じてきました。2023年3月頃を目途に、当社の希望が実現できる機能が実装される予定だとお聞きし、期待しています。しかし、文章でのやり取りができるようになると、私たちもより一層発信内容に配慮しなければいけないと気を引き締めています。

2022年6月に「改正公益通報者保護法」が施行されて、社内に変化はありましたか?

K様:社員のコンプライアンス意識は格段に変わったと感じています。事業所長は「トラブルの発生を防止しよう」という姿勢を強めるようになっていますし、私たちもきちんと通報者を守れるよう、社内規程やルールを設定する必要があります。企業倫理ホットラインを導入したことで、多くの教訓や学びを得られています。

最後に、お二人の目指す企業の理想像をお聞かせください。

K様:本来は通報がない、つまりトラブルが発生しない状態が一番理想です。企業倫理ホットライン導入をきっかけとして、問題解決能力や傾聴力に関して少なくともマネジメント職全員が同じレベルを維持できるようにしたいと考えています。

ダイヤル・サービスさんに対しては、「私たちが必要な能力を身に着けるために指導いただいている」という感覚を持っていて、コンプライアンスのプロからさまざまなことを勉強させてもらっています。今後事業所の責任者になる人には、ただコンプライアンスの話を聞くだけでなく、通報者への対応を3ヶ月やってみるなど実践の場を設けたいですね。

O様:目指すのは「節度ある風通しの良い会社」です。極論としては通報窓口を使う場面がないことが一番の理想ではあります。本来は事業所ごとの人間関係がうまく機能していれば、問題が発生した際に上司に相談して解決が可能です。しかし、それが難しいからこそ問題が解決できず悪化してしまうのです。今後は適切な制度を運用し、コンプライアンス遵守を徹底しなければなりません。従業員8,200人の考え方は各自異なりますが、明確なルールを共有しながら、会社が良い流れで循環していくことが理想です。

相談員のご紹介

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