導入事例
さくらインターネット株式会社
事業内容
インターネットへの接続サービスの提供、インターネットでのサーバの設置およびその管理業務、インターネットを利用した各種情報提供サービス業務 など
導入サービス
ホットライン利用対象人数
550名
相談者に寄り添うカウンセリングマインドと専門知識による対応のバランスを評価しています
クラウドやレンタルサーバー、高セキュアなIoT/M2M向けSIMなどのDXプラットフォームを提供している、さくらインターネット株式会社。550名を超える社員に対し、メンタルヘルスの専門知識を持つ複数の人事スタッフを擁するなど、心の健康に手厚い対応をしています。そんな同社は、2013年10月にダイヤル・サービスの「こころと暮らしのほっとライン」を導入されました。その経緯や効果について、人事部門であるES部リーダーの金山早希様にお話を伺いました。
24時間365日、ウェブでの相談対応が テキストコミュニケーションに慣れた社員にマッチ
ES(Employee Success)部リーダー 金山早希様
御社が「こころと暮らしのほっとライン」を導入された経緯についてお教えください。
2013年10月に「こころと暮らしのほっとライン」を導入しました。
当社は1999年8月、代表取締役社長の田中邦裕が学生の身で起業したインターネット企業。創業から6年後の2005年には東証マザーズに上場し、その後2015年には東証一部に市場変更するなど、会社は順調に成長し、社員も増えていきました。
そして会社の成長にあわせて、社員の業務も増えはじめました。当社の大きな事業のひとつであるデータセンターの運営は、極めて安定的な運用を求められる分野です。万一データセンターがストップしてしまうと、お客様のビジネスにも大きな影響を及ぼしてしまいますから、そのプレッシャーはとても大きいものです。また、サービス運用の現場は24時間365日体制なので、緊張感はもちろん、夜勤による負担も考慮する必要がありました。
2011年には北海道の石狩市に大規模データセンターを建設、そしてクラウドやIoT分野の新規サービスの展開をスタートするなど、会社としての過渡期を迎えました。当時、拠点は大阪本社と東京支社、そして石狩をはじめ各地のデータセンターなど複数に分かれていたため、どうしても、管理部門のサービスをタイムリーに届けることが難しい状況にありました。その中で、徐々に社員のメンタルヘルスに関わる対応に対しても、どのように向き合うべきか考える時期に差し掛かりました。業務内容のプレッシャー、職場の人間関係、自分のキャリアやライフイベントなど、社員が抱える悩みはさまざま。もっと早い段階で社員から気軽に相談を受けられる体制があれば、問題の深刻化を防ぐことができたのではないか……こうした振り返りが、「こころと暮らしのほっとライン」の導入に至った背景です。
ダイヤル・サービスを選ばれた理由とはどんなことだったのでしょうか。
社員数の規模感と価格体系がマッチしていたことと、24時間365日、ウェブでの相談に対応していたことなどが主な決め手でした。当社の社員構成としては、職種はエンジニアが多く、男女比においては男性社員が77%を占めています。電話よりも、テキストによるコミュニケーションに慣れている社員も多く存在します。自分の悩みを相談フォームで言語化することで、悩んでいる内容が整理されて明確になり、辛い状況から少しでも冷静になれるきっかけになるのでは、という点も期待できました。ウェブであれば、相談ダイヤルの時間にとらわれず、夜間や休日でも相談できますから、その点にもメリットを感じましたね。
“ダイヤル・サービスさんには当社のメンタルヘルスをトータルにサポートしていただいています”
金山早希様
直近の相談件数と内容の傾向をお教えください。また、そういった相談の報告に対して、どういった対応をされていますか?
件数は、2018年度が18件、19年度が5件、20年度も5件でした。内容は多岐にわたりますが、人間関係や自分の能力など仕事の悩みから、社員数の増加や年齢構成の多様化に伴って、育児・介護との両立などプライベートなものも含まれるようになりました。
「こころと暮らしのほっとライン」の相談員の方には、必ず相談したことについて会社からの連絡を希望するか否かを聞いていただいています。社員が希望する場合に関しては、本人にES部のスタッフが直接コンタクトを取ります。話を聞き、本人の了承を得た上で、関係者との連携など、しかるべき手順を踏んで対応していきます。精神的な不調の場合は本人との面談を通し、その不安を丁寧に聞き、産業医や地域クリニックへの受診を後押しします。また、年間を通して社員からの相談の全体傾向を報告いただいておりますので、その報告をもとに社内でのコミュニケーションのあり方など、制度面の検討にも活かしています。
そういった対応をされている金山様はじめ人事スタッフの方々は、専門的な知識を学ばれているのでしょうか?
私は産業カウンセラーの資格を取得しており、ほかのメンバーもメンタルへルス・マネジメント検定などの取得を通じて心理学やキャリアなどの分野の理解を深めています。メンタルヘルスに関わる問題は場合によってさまざまな対応が求められますので、複数名体制で、対応が特定の担当者に固定されないようにしています。
19年度、20年度が5件というのは、社員数550名に対して相談数が少ないように感じます。
ストレスやハラスメントに対する特別な対策をされているのでしょうか?
弊社は「さぶりこ」(Sakura Business and Life Co-creation)という福利厚生・勤務制度の施策を設け、社員が働きやすく、働きがいが感じられる環境づくりに特に力を入れています。具体的には、業務を早く片付けたら定時の30分前から退社できる「ショート30」や、自宅やカフェなど都合のいい場所で働ける「どこでもワーキング」、副業やNPOなどにチャレンジできる「パラレルキャリア」など様々な制度があります。
また、会社のカルチャーとして、「肯定ファースト」「リード&フォロー」「伝わるまで話そう」といった行動指針が、社員間のコミュニケーションのベースになっています。加えて、上司とメンバーは月に1回30分以上の1on1ミーティングを必ず行うようにしています。
こういった施策を通して、過度なストレスに繋がらない勤務の仕方や、相互に信頼・相談できるような人間関係を築くことに繋がればと考えています。
なお、コロナ禍となって以降、当社もほぼ全面的なリモートワーク体制となりましたが、ES部では隔週でヘルスチェックのためのアンケートを取っています。コロナ禍にあっても、メンタルヘルス不調を原因とする休職者は減少し、不安がぬぐえない社会情勢の中でも、大きな混乱が広がることなく事業運営が出来ています。これは当社がこれまでとってきたさまざまな施策の定着による成果だと担当者としては嬉しく思っているのですが、これからも気を緩めずに引き続きしっかりと運用を図っていきたいと思っています。
「こころと暮らしのほっとライン」のメリットについては、どうご評価いただいていますか?
まずは、相談対応の質の高さですね。当社では、普段の社員の相談のほか、メンタルヘルスで休職した場合の復職前にも必ず「こころと暮らしのほっとライン」に今の不安や復帰後に気になることなどについて相談してもらうようにしています。本人了承の上で、その内容をレポートにしてもらっているのですが、相談員の方が相談者に寄り添ってくださっていることが伝わってきます。相談者の言葉を受容し、あくまでも本人の意志を尊重して自らの意思決定をサポートするとともに、必要ならば具体的な外部サービスの利用を勧めてくださり、専門家としての知識もきちんと伝えていただいている。そのことがわかりやすくレポートから読み取れます。
このような対応をしていただけるので私たちも安心しており、さらに「こころと暮らしのほっとライン」の周辺サービスである、ストレスチェックや、管理職向けおよび社員向けのメンタルヘルス研修なども利用しています。この研修は、実際に相談に当たっている相談員の方が講師となって行われるので、研修内容は具体的かつ実践的です。
いずれも安心感のあるサービスで、ダイヤル・サービスさんには当社のメンタルヘルスをトータルにサポートしていただいていると感じています。
今後、「こころと暮らしのほっとライン」に期待したいこと、改善してほしいことがあればお教えください。
当社従業員の勤務体系やコミュニケーションの多様性を考慮すると、時間限定の電話相談窓口だけでなく、24時間365日、相談したらたとえ一次対応でも即座にレスポンスを頂けるようなチャットボットの設置など、テクノロジーでさらに相談しやすい仕組みが実現できるとより安心してサービスを利用できると感じています。
(内容は2021年7月現在)