懲戒処分に納得のいかないハラスメント行為者からの相談
ダイヤル・サービスのハラスメント相談窓口には、ハラスメントの被害を受けた方からだけでなく、ハラスメント行為について会社から懲戒処分を受けた、いわゆる「行為者」からの相談も入ることがあります。先日、ある行為者の方から、会社の処分に対する不満を訴える相談が入りました。
「職場での自分の言動に対する通報が会社に入ったと突然知らされた。誰がどのようなことで通報したのかは知らされないまま、いきなり会社のハラスメント担当から呼び出されてヒアリングを受けた。ヒアリング中も自分のどの発言や態度がハラスメントとして問題となっているのかは知らされなかった。その後しばらくして、一方的に処分を言い渡された。同時に、『今回の処分については周囲には一切話さないこと。もし他言した場合は更なる懲戒処分を受けることになる』とも告げられた。そのため、誰かに相談することもできない。一体自分の何が悪かったのか、どうすればよかったのか、反省をすることもできない。誰かが自分を陥れようとしているのではないかと勘ぐってしまうし、会社に対する不信感も強く残っている」
このように、会社がどの事実をハラスメントと認定し、どの規程(就業規則・ハラスメント規程)に違反したのかを告知しない場合、行為者はなぜ処分を受けたのか理解ができず、その後の行動変容を起こすことが難しくなります。会社としては被害者保護・プライバシーへの配慮から、具体的事実・規程違反箇所を伝えなかったのかもしれません。しかし、弁明の機会を奪う、適正手続きの侵害、さらには不当処分として異議申し立てに繋がる可能性もあります。
厚生労働省の「職場におけるハラスメント対策パンフレット」(令和6年11月作成)には、「行為者に対して懲戒規定に沿った処分を行うだけでなく、行為者の言動がなぜハラスメントに該当し、どのような問題があるのかを真に理解させることが大切です」と記載されています。
職場におけるハラスメントは、被害者だけでなく、会社の対応次第では行為者にとってもその後の大きな問題となり得ます。ハラスメント事案の認定にあたっては、被害者・行為者双方の人権・プライバシーへの配慮をしつつ、行為者に対しては、弁明の機会を保障し、処分理由を明示すること、そして再発防止のための手立てを具体的に提示することが求められると言えるでしょう。