鍋料理の名わき役! 春菊パワー
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わが家では鍋料理といえば、春菊が入ります。クタクタになって色が変わると残してしまいます。昔から当たり前のように入れていますが、これは理にかなっているのでしょうか。
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春菊の鮮やかな緑色は鍋の中でも引き立ち、存在感がありますね。肉や魚との相性も抜群で、アクが少なく、下ゆでしないで利用できるのが、鍋料理に春菊が入る理由でしょう。春菊は独特の香りとほろ苦さがおいしい野菜ですが、加熱し過ぎると苦みが強く出るので、サッと火を通す程度がおいしく食べられます。香りを生かすためにも加熱し過ぎないで、シャキシャキとした食感を味わってください。
鍋料理や天ぷら、和え物のイメージが大きい春菊ですが、どんな料理にも使える万能食材です。中でもギョーザとチヂミはニラの代わりに入れるとピッタリで、ニラとは違った味わいになり、においも気になりません。また、鮮度のよいやわらかい葉先は生で食べられるのでサラダやカルパッチョにしてもおススメです。
春菊は緑黄色野菜ではトップクラスの栄養価で、カルシウムやカリウム、鉄分などを豊富に含みます。最も特徴的なのは、ほうれん草を上回るβカロテンの含有量です。βカロテンは、体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、目の健康を維持するために働く重要な栄養素です。また、抗酸化作用を持つビタミンCも含まれており、風邪をひきやすい時期には「食べる風邪薬」として、もってこいの野菜といえます。
原産地のヨーロッパでは、春菊は観賞用として栽培されています。食用として栽培しているのは、日本や中国、東南アジアなどの一部の地域だけのようです。主役の素材を引き立てる名わき役の存在をたっぷりいただきましょう。