「こども・若者の居場所づくり」<信頼できる大人がいることの大切さ>

電話相談でも「家や学校に居場所がない」「大人はわたしのことを誰もわかってくれない」と辛い気持ちや寂しさを話してくれるたくさんのこども・若者がいます。じっくり話を聞いていくと「本当は信頼できる大人がほしい」という気持ちを吐露してくれることも多く、「大人なんて」という一見すると投げやりにも聞こえるこども・若者の言葉の裏には「信頼できる大人がそばにいてくれたら」という気持ちや、どこかで信頼できる大人だったら今置かれた辛い環境を変えてくれるのではないかという期待が隠されているのかもしれません。
こども・若者に関するたくさんの取り組みや制度改正が行われる中、家や学校、社会に居場所がないと感じているこども・若者もまだまだ多いのが現状です。「令和7年版こども白書」でも、自己肯定感やチャレンジ精神、将来への希望等についてのアンケートにおいて、居場所を1つよりも複数持っている方がよりポジティブな回答を返しやすいという報告があります。さらに、こども・若者自身に「どんな居場所がつくられると嬉しいですか」と尋ねた回答(複数回答)でも、「ありのままでいられる、自分を否定されない」という回答が最も多く、約8割という結果が出ています。
こども・若者の居場所では「どう過ごせるか」だけでなく「誰と過ごせるか」 が重要であると言われています。こども・若者が「居たい」「行きたい」「やってみたい」(「こどもの居場所づくりに関する調査研究報告書」3つの視点より)という主体的で積極的な気持ちになるためには、こども・若者自身が自身の「意見を言っていいんだ」と思える場所であることや、失敗してもやってみたいと感じる環境があることが大切です。そのためにも、こども・若者自身の気持ちを受け止めてくれる信頼できる大人の存在は必要不可欠です。
こども・若者の居場所や居場所づくりの活動そのものが地域における多世代交流の機会を新たにつくるきっかけにもなる等、こども・若者の居場所づくりに取り組むことは、こども・若者のためだけでなく、地域づくり・まちづくりにとっても大きな意味を持つものと言えるかもしれません。
■筆者
ソーシャル電話相談員 和泉薫
一般社団法人てとらぽっと(https://www.instagram.com/cafe_tetora/?hl=ja)代表
