「読み聞かせ」に学ぶ〈コミュニケーションの真髄〉

子どもの発育・発達には「読み聞かせ」が良いと言われます。その効果として語彙を増やし言葉の表現力や理解力を向上させる。集中力を高め学習意欲を刺激する。登場人物に共感することで共感力や感情理解を深める。また、喜怒哀楽をつかさどる大脳辺縁系が活発になり、記憶や自律神経をつかさどる機能が高まるとも言われています。
「読み聞かせ」そこには最低限、読む人と聞く人が存在します。読む人は本の内容をいったん自分の中に落とし込み、自身の経験や感性により作者の思いを探ります。そして肉体の真ん中を通る声帯という器官を使って、呼吸とともに音として表現します。まさに「肉声」といわれるいのちの息吹です。この息吹を受け、聞く人は単に耳で聞くのではなく、体で本を読むことができるのです。そして読む人の経験や感性をまとった作者の思いを聞く人もまた、自身の経験や感性により、解釈していくのです。この相互作用が織りなす世界はまさに心と心の通い合いを超えた魂の交流。この交流こそが子どもの心や脳の発達に好影響を与えると言われるゆえんであり、これは私たちのコミュニケーションの真髄とも言えるのではないでしょうか。
ともすれば、私たちは知識や理論に頼り、頭だけを使った会話をしていることがあります。日々の出来事に感性を持って接すること、呼吸が通りやすい体づくりを心掛け、心と体の相互に意識を向けてみることで、単なる「声」がいのちの息吹である「肉声」に。「会話」がぬくもりのある「対話」に転じ、これまで通じ合えなかった人とも心と心を超えた魂の交流が可能となるかもしれません。
■筆者
ソーシャル電話相談員 栗原厚子
読み聞かせボランティア おはなしもり(https://ohanashimori.static.jp/)代表
カウンセリングルーム マムはぁと(https://momheart.jp/)代表

