Vol.177 食と健康

まさか⁈カレーで食中毒

<Q>
 カレーで食中毒を起こすと聞きました。子どもが夏休みの時期は、カレーの出番が多いので心配です。2日目は火を通して食べれば大丈夫ですか。

<A>
 暑い時期、汗をかきながら食べるカレーはよりおいしく感じますね。カレーは調理後、時間が経って食べることで、ウエルシュ菌という細菌による食中毒を起こすことがあります。カレー以外にもシチューや肉じゃが、煮物、スープなど、大きな鍋で作った料理が原因となる食中毒です。一度に大量の食事を調理した給食施設などで発生することから“給食病”とも呼ばれています。

 ウエルシュ菌は、動物の腸管内や土壌など自然界に広く存在している細菌で、加熱調理しても芽胞と呼ばれる殻を作って生き残る性質を持っています。ウエルシュ菌が増えることのできる温度帯は約12~50℃とされており、料理を常温のまま長時間放置すると、ウエルシュ菌が増殖してしまいます。

 カレーは傷んでいても見た目や匂い、味の変化がわかりにくい料理です。ウエルシュ菌食中毒は食後6~18時間(平均10時間)で腹痛、下痢などを起こします。発熱や嘔吐はほとんど見られません。多くの場合は発症後1~2日で回復するとされていますが、特に子どもや高齢者は気を付けなければいけません。

 ウエルシュ菌が増殖する前に、できるだけ早く食べきることがいちばんですが、やむをえず保存する場合は、素早く温度を下げることが大事です。鍋のまま常温で放置したりせず、底の浅い容器に小分けにして速やかに冷やし、冷蔵庫で保存します。保存したカレーを食べる際には、殺菌のため、グツグツするまでしっかり火を通してください。また、全体に熱がいきわたるよう、鍋に移してよくかき混ぜながら加熱します。過信せず安全においしくいただきましょう。