Vol.172 食と健康

うなぎだけじゃない夏バテ予防に卵

<Q>
 土用の丑の日にうなぎを食べることは知られていますが、苦手で食べられません。ほかにも栄養がある土用の食べ物があれば教えてください。

<A>
 夏の土用のころは梅雨明けから大暑と重なり非常に暑くなってきます。昔から夏バテを予防するために栄養がある食材を食べる“土用の食い養生”という風習があります。土用のうなぎのほかに土用しじみ、土用餅、土用卵という言葉もあります。それぞれの食材でいわれは違いますが、旬を迎える食材や厄払いなど縁起を担ぐ食材を食べて無病息災を願う行事食です。中でも土用卵は、土用の時期に産み落とされた卵のことで、うなぎと同じように精がつくと言われていました。

 卵は良質のたんぱく質をはじめ、ビタミン、ミネラルも豊富で、ビタミンCと食物繊維以外のすべてを補えることから“完全食品”と呼ばれます。卵のたんぱく質は、栄養的な価値を示すアミノ酸スコアが満点の100を示すほど、理想的な食品なのです。たんぱく質を漢字で書くと「蛋白質」になりますが、これは「卵の白身」という意味で、このことからも栄養的に優れた食品といえます。

 日本は世界的にみても卵の生産量、消費量はトップクラスです。一人あたり、ほぼ1日1個ずつ食べている計算になります。また、新鮮な卵を生で安心して食べられる数少ない国です。厳しい規格基準と、生産から流通までさまざまな衛生管理が発達しており、さらに消費者の意識も高く、冷蔵庫で保管する、賞味期限内に早く食べるといったことも関係しています。

 熱々のごはんに生卵をかけてかき込む、卵かけごはん(TKG)は栄養満点で、究極のファストフードかもしれませんね。生で食べる場合には「殻が割れている卵」や「殻にひびがある卵」を使わない、食べる直前に殻を割ってすぐに食べるように気を付けてください。いろいろな食べ方ができるのが卵の魅力です。暑さで食欲が落ちる時期こそ、卵で元気に夏を乗り越えましょう。