心の使い方のコツ ~4つの「人生の立場」~

どんな仕事でも、やり終えるまでには様々な心の動きがあるものです。その際に偏った心の使い方をしていると、メンタル疾患に陥る可能性があります。
先日、電話相談員である私が企業向け研修資料を作成した過程においても、様々な心の動きがありました。このときの心の動きを描写することで、心の使い方のコツをお伝えします。
今回の研修資料は、自分の学んだことがうまく受講者に伝わるようにと時間をかけて作成しました。その資料を研修の発注者であるクライアントに提出したところ、強烈なダメ出しをされてしまいました。
私の心は動揺し、「あぁ、私の職業人生は終わった…。私は無能な人間だ…。何もできないダメ人間だ…」と絶望し、しばらく身動きができなくなってしまいました。
交流分析という心理学では、人生で起こる出来事に対する、自分の感じ方・捉え方の特徴を、「人生の立場」と表現しています。人生の立場は4つに分けられます。
第1の立場:私はOKである、あなたはOKである
お互いに信頼し、尊重し合いながら物事を進めていくことができる
第2の立場:私はOKでない、あなたはOKである
自己卑下をして否定的になり、自分を責める
第3の立場:私はOKである、あなたはOKでない
本当は自分はOKではないのに、自分を守るために相手を責め、攻撃的な言動になる
第4の立場:私はOKでない、あなたはOKでない
自分に対しても相手に対しても絶望的になり、身動きが取れなくなる
このような視点から心の動きを観察すると、私はどうやら第2の立場にいたようです。
クライアントの指摘は絶対(あなたはOK)であって、私は何もできないダメ人間(私はOKでない)だという立場で出来事を捉えていました。さらに、一瞬、第4の立場に陥り、身動きが取れなくなってもいました。
その後、私は「なんで誰もフォローしてくれないんだよ! クライアントに見せる前に、チェックしてくれてもいいじゃないか!」と、第3の立場に移行して、周りを責めるような怒りを感じました。
心の使い方のコツは、いかに自分の心の動きに自覚的になれるか、です。
私は「人生の立場」という枠組みを学んでいたので、この枠組みに照らし合わせて、自分の心を客観的に観察するよう心掛けました。そして、心の動揺から距離を置いて、第1の立場を目指すために何ができるかを考えるようにしました。
つまり、クライアントの要望をキャッチして資料を見返すという、理性的なオペレーションを心掛けたのです。そして、資料の手直しをするという現実的な行動をとることができました。
人は、心の動揺に囚われると、現実に即した行動をとることが難しくなります。自分の心をコントロールするためにも、ぜひ「人生の立場」という枠組みを参考にしてみてください。