Vol.130 食と健康

ザワークラウトは酢を使わないの?

<Q>
 ザワークラウトの独特の酸味が好きで、自分でも作ってみようと思い、レシピを調べましたが、材料はキャベツと塩、黒コショウだけでした。どうして酢を使わなくても酸っぱくなるのでしょうか。

<A>
 ザワークラウトとは、ドイツ語で「すっぱいキャベツ」という意味で、細切りキャベツに塩をもみ込んで作る漬物のひとつです。寒いドイツでは貴重な野菜の保存食で、その名のとおり、強い酸味が特徴です。ピクルスのような酢を使った酢漬けと思いがちですが、酢は入れません。ザワークラウトの酸味は、発酵の過程で生まれる乳酸によるものです。キャベツの中にもともと生息している乳酸菌が、キャベツの糖分をエサとして分解し、乳酸と酢酸に作り変えることで、独特な酸味が生まれます。

 ザワークラウトのように乳酸発酵で酸味を持った漬物には、ほかにも韓国のキムチや日本の野沢菜漬けや高菜漬けなどが知られています。このような漬物の歴史は古く、中国では食酢が発見される以前には調味料の代わりに使われており、シルクロードを経て欧州に伝わったとされています。

 日本でも瓶詰や缶詰のザワークラウトをよく見かけます。酸味を抑えたものや、白ワインなどで調味したものもありますが、塩分や酸味がきつい場合は、さっと茹でて使うと食べやすくなります。本場ドイツでは、ソーセージ、肉や魚のソテーに添えたり、オイルと和えてサラダやサンドイッチにしたり、炒め物、煮物、蒸し物、シチューなどにするそうです。また、家庭で手作りすることも簡単に作ることができます。

■簡単なザワークラウトの作り方
1.キャベツを4~5mmの細切りにする
2.キャベツの重量の1.5~2.5%の塩、スパイス(キャラウェイシードやクミン、粒黒コショウなど)をキャベツにもみ込みながら、清潔な容器に詰める
3.表面をラップなどで覆い空気を遮断し、落しぶたと重石をして室温で漬け込む

 水分が上がってきて、ほのかに酸っぱい香りがしてきたら、保存容器に入れて冷蔵庫で保存してください。5月ごろの気温25℃前後なら2~3日で薄い黄色に出来上がります。紫キャベツで作ると色鮮やかなザワークラウトが楽しめます。ぜひ、トライしてみてくださいね。