Vol.123 食と健康

糖尿病の予防にネバネバ?

<Q>
 血糖値が高めなのが気になっています。ある雑誌に「海藻などに豊富な水溶性食物繊維を多めにとると糖尿病の予防になる」と書いてありましたが、水溶性食物繊維で糖尿病を予防できるのですか。野菜や豆類などでは効果はないのでしょうか

<A>
 食物繊維は、人の消化酵素で消化・吸収されない食物中の成分のことを言います。整腸作用や血糖上昇の抑制などの働きが明らかになっていて、重要な栄養成分として注目されています。その中で、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2つに大きく分けられます。

 水溶性食物繊維は水に溶けて、粘性の高いネバネバ状になり、胃の中で食物を包み込みます。胃から小腸への移動がゆっくりになるため、糖質の吸収がゆるやかになり、食後の急激な血糖値の上昇を抑えることができます。それゆえ水溶性食物繊維は、糖尿病を予防すると言われているのです。一方、不溶性食物繊維は野菜や豆類に多く、大腸で水分を吸収して便のかさを増やします。また、噛みごたえがあるので必然的によく噛むようになり、満腹感を得やすく、糖尿病発症の一因とされる、過食、肥満の予防につながります。

 食物繊維は、便通を整えて便秘を防ぐうえで欠かせないものです。脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して体の外に排出する働きがあるため、脂質異常症や高血圧などの予防・改善にも効果が期待できます。最近では食物繊維が腸内細菌の環境を改善して、インスリンの効きやすい体質になることもわかってきています。

 糖尿病は血管がダメージを受け、動脈硬化を進める病気です。糖尿病の先にある心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な病気を予防するには、血圧や脂質も同時にケアすることが欠かせません。

 食物繊維の多い食品には野菜やきのこ、こんにゃく、海藻、豆類、玄米や全粒粉パンなどがあり、「水溶性」「不溶性」どちらも含まれています。食物繊維はほとんどの人が不足しがちです。積極的に摂りたいですね。