「恵方巻き」は「太巻き」とはどう違うの?
<Q>
少し前まで、節分には豆まきだけで伝統的な行事食はないと思っていました。最近では恵方巻きがすっかり定着したように感じられますが、具材とか決まりごとがあるのでしょうか。また太巻きとは違うものなのでしょうか?
<A>
「節分」は本来季節の分け目を意味し、立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれ前日をさしていました。現在では立春の前日の行事だけが残っています。立春前日が特に大切にされたのは、旧暦の立春が新年の始まり、つまり正月で、その前日が大晦日にあたるためといわれています。
節分の夜は、厄払いや無病息災を願い、「鬼打ち」「豆まき」が行なわれます。豆をまき終わったら、福を逃がさないように戸を閉め、「年取り豆」といって自分の年齢と同じ数の豆を食べたり、お茶に豆を入れた「福茶」を飲む風習があります。こうすると“まめ”に暮らせるといわれてきました。節分の日に食べる料理は、特別な決まりはないようです。焼いたイワシの頭をヒイラギの枝に刺して門口に飾ると、イワシの匂いとヒイラギのトゲで鬼が退散するといわれているので、塩イワシを焼いて食べる家もあります。
恵方巻きについては諸説ありますが、よく知られている説を紹介します。大阪を中心とした関西地方のみの習慣として、いつの頃からか節分の日に歳徳神のいる方向である恵方に向かって「巻き寿司」を丸かじりしながら願い事をすると、夢がかなうと言い伝えられてきました。そのため節分に巻き寿司を食べる家庭が多かったようです。
関西では「巻き寿司」といえば「太巻き」を指すことが多いため、基本的には太巻きと恵方巻きは同じものになります。呼び名も「吉方巻き」、「丸かじり寿司」、「幸運巻き」とさまざまでしたが、コンビニエンスストアが「丸かじり寿司 恵方巻」という名前で全国販売したのがきっかけで「恵方巻き」が定着したのかもしれませんね。具材は、七福神にちなみ7種類の具材を使っているものが多く見られます。
最近は、恵方巻きの代わりに手巻き寿司やライスペーパーを使った春巻き、ロールケーキなどで手軽に楽しむことも増えています。食べ方にはルールがあり、「恵方を向いて、無言で一気に食べる」ことで福が逃げずにご利益が得られるそうです。恵方は、その年の干支で決まります。2024年の恵方は東北東。福を逃がさないように、そして願いがかなうようにいただきましょう。