Vol.118 食と健康

お正月だけじゃない?!餅料理

<Q>
 岩手県出身の友人は、餅を一年中食べるそうで、味付けは何種類にもなると聞きました。餅はお正月に雑煮や磯辺餅で食べるだけなので、どのようなものか気になります。また、正しい食べ方の作法があるそうですが、教えてください。

<A>
 岩手県の南に位置する一関市を中心とした県南地域は、豊かな稲作地帯です。江戸時代に仙台藩の命により、毎月1日と15日に餅をついて神仏に供え、平安息災を祈るようになり、それが慣習となっていったようです。一関市では「餅暦」によって季節の節目や行事ごとに年間60回以上も餅を食べる風習があります。また、冠婚葬祭や来客のもてなし料理と、餅を食べる機会が多くあり、餅料理の多彩さでは日本一といわれています。

 多彩な餅料理には、雑煮のほかに、あんこ、くるみ、ごま、ずんだ(枝豆)、しょうが、納豆、大根おろしなどで味付けした“変わり餅”があります。“餅本膳”では数種類の変わり餅を食べます。ほかにも季節によっては、ホヤや沼エビ、ドジョウ、イカなど様々な食材が使われます。汁に入れるものや、たれに絡めるものなど、約300通りの種類があるのは驚くばかりですね。

 お祝いごとなど特別な時の餅本膳には食べ方に作法があります。まず、なます(大根おろし)に箸をつけます。次に、あんこ餅を食べて、くるみや納豆などの変わり餅を食べ進めて、たくあんを1枚だけ残し、雑煮で終わるのが正式なマナーです。たくあん1枚を残すのは、最後に「膳の湯」をいただく時にたくあんで椀を清めるため。ほかにも、あんこ餅と雑煮はおかわりできますが、くるみやごまなどの変わり餅はおかわりしない、などの作法も代々受け継がれています。

 今でも伝統的な食べ方から、チーズを使った洋風のもの、餅を使ったスイーツなど「餅の食文化」が進化を続けながら根付いているようです。