Vol.74 食と健康

水加減の言葉、知っていますか

<Q>
 祖母からもらったレシピには、水の量は「ひたひた」「かぶるくらい」「たっぷり」としか書いてありません。どのくらいの水加減にすればよいのでしょうか。

<A>
 レシピに水やだしの量が詳しく書かれていないと不安になりますが、それぞれの言葉の意味さえ知れば簡単です。水加減の言葉を覚えておきましょう。

 まず「ひたひた」とは、材料の頭が水面から、少し見え隠れするくらいの水の量です。ところどころ水の中に隠れていても大丈夫です。「ひたひた」の煮汁で強火や中火で落としぶたをして煮ると、まんべんなく調味料が行き渡り、短時間で上手に煮ることができます。煮立ったときに鍋の中で材料が踊らないので、角が取れず煮崩れしにくいです。煮魚やかぼちゃ、じゃがいもなどを煮るのに向いています。炒め煮や煮汁をあまり残さずに煮詰める場合にもこの水加減を使います。

 次に「かぶるくらい」とは、材料の頭がちょうど水で覆われるくらいの水の量です。「ひたひた」より水の量は多くなります。材料に火が通り、さらに軟らかく煮て味を染み込ませたいときにこの水加減を使います。丸ごとのじゃがいもや根菜など火を通すのに時間がかかる材料や、高野豆腐の煮物など弱火でじっくり調味料を含ませたいときにも向いています。

 最後に「たっぷり」とは、材料全体がすべて浸かり、動き回れるくらいの水の量です。「かぶるくらい」より水の量は多くなります。湯の温度を下げずにしっかりと茹でるための水加減で、文字どおりたっぷりの水です。麺類や短時間で火を通したい青菜を茹でるときに向いています。

 水加減は、料理の勘所。料理の味や仕上がりに差が出てきます。ちょっとした水加減の違いで材料に均一に火が入らなかったり、煮崩れしたりすることもあります。この3つの表現をマスターして、料理の出来栄えワンランクアップを目指しましょう。