Vol.59 食と健康

ビールがおいしい季節ですが

 「ビールを毎日飲むので、ビール腹ではないかと思っています。焼酎にしたら大丈夫だよと同僚に言われましたが、それでおなかは引っ込みますか」「健診で尿酸値が高いと言われました。ビールはよくないと聞いたのですが本当ですか」などのご相談が管理栄養士の窓口には寄せられます。
気温が徐々に上がるにつれ、ビールの量が増えてしまう方も多いと思います。ビール腹のからくりや尿酸値との関わりについて紹介します。

■ビール腹のからくり

 気になるおなか回りの原因が、習慣的なビールであると感じさせる「ビール腹」という表現が確かにありますね。その影響か、ビールは太ると思っている方もいます。しかし、ビールだけがビール腹を作るというわけではありません。アルコールを飲むと摂取エネルギーが増えやすく、さらに日頃の運動不足と重なっておなかが出るというのがビール腹のからくりです。お酒はあまり満腹感が得られないこともあり、摂取エネルギーが過剰になりやすい傾向があります。摂りすぎたエネルギーはおなか回りの内臓脂肪となり、ビール腹を成長させるのです。

■焼酎は太らないの?
 お酒には製造方法の違いで「醸造酒」と「蒸留酒」の2種類があります。「醸造酒」は、穀類などの原料を発酵させたお酒で、ビールや日本酒、ワインなどがそれに分類されます。もう一方の「蒸留酒」は、発酵液を加熱、蒸留してアルコールを濃縮したお酒で、焼酎やウイスキー、ウォッカがそれに分類されます。醸造酒がアルコール以外の糖質などを含むのに対し、蒸留酒は揮発しない糖質などが取り除かれるため、同じ酔い心地でもエネルギーは蒸留酒の方が低めです。
 1日のお酒の適量とされる純アルコール20g相当の分量で比較すると、ビール(中瓶1本強・540ml)は212kcal、焼酎(25度で0.6合・108ml)は151kcalです。これが焼酎は太りにくいといわれる根拠なのかもしれませんね。ちなみに白飯のおにぎり1個はおよそ156kcalです。このエネルギー、焼酎(25度)0.6合と変わりないことにお気付きでしょうか。

■高尿酸血症とビール
 「高尿酸血症なので、ビールを控えています」との話をよく耳にします。ビールは尿酸のもとになるプリン体を含んでいますが、プリン体が多い食品ではありません。高尿酸血症の食事では、プリン体は1日400mgを超えないように配慮しますが、ビールは中瓶1本強で36mg程度です。肉や魚はプリン体を多く含むため、高尿酸血症はかつて「ぜいたく病」と言われました。今では高尿酸血症の食事療法は、食事のバランスや量を整え、肥満傾向の方はその解消をまず考えます。
 では、なぜビールが尿酸値を上昇させるのでしょうか。それはアルコールが原因です。アルコールは肝臓で分解されるときに尿酸を発生させます。同じく作られる乳酸という成分が、尿への尿酸の排泄を妨げるため、尿酸値が上昇してしまいます。
 また、アルコールには利尿作用があります。その影響で飲酒すると血液中の尿酸が濃縮され、尿酸値が上昇します。お酒は、種類より飲む量が重要なのです。

■ビール腹をスッキリさせよう!
 お酒の適量を守っていても毎日飲んでしまうと、休みをもらえない肝臓は過労で悲鳴を上げてしまいます。肝臓をいたわるためには、週に2日は休みをあげましょう。
 そして、ため込んでしまった内臓脂肪を減らすには、運動の習慣をもつことも大切です。身近で取り組みやすい歩行でエネルギー消費量を増やしてみるのはいかがでしょうか。体重65kgの男性が45分歩くと、約154kcalのエネルギーを消費し、これは1日の適量である焼酎0.6合のエネルギーに匹敵します。日頃から歩く機会を作り、活動量を増やすようにすればビール腹解消も夢ではないはずです。