Vol.54 食と健康

アサリの砂抜きとストック術

<Q>
 潮干狩りで、アサリがたくさん取れました。いつも砂抜きが上手にできないので、よい方法を教えてください。また、食べきれないので冷凍したいのですが、貝類は冷凍保存できますか。

<A>
 アサリなどの貝類は、生息していた場所と同じ環境にするとよく砂を吐き出します。そのため潮干狩りの際は、海水をペットボトルなどに入れて持ち帰り、砂抜きに使用するのがベストです。海水を持ち帰れない場合は、海水程度の3%の塩水(水1カップに塩小さじ1杯)になるべく平らになるようにして浸し、暗くて静かな場所に置きます。塩水の量はアサリが半分つかる程度で十分です。砂抜きの時間は、取りたてなら最低5~6時間つけておきますが、店先に並んでいるものはある程度の砂は出ているため、2~3時間でよいでしょう。

 長期間保存したいときは、新鮮なうちに殻付きのまま冷凍する方法がお勧めです。アサリに限らず、シジミ、ハマグリなども冷凍保存できます。貝類は冷凍すると死んでしまいますが、鮮度がよいうちに冷凍すればおいしいさが保てます。また、冷凍すると細胞が壊れて、うま味成分が溶け出しやすくなり一石二鳥です。使うときは、解凍しないで凍ったまま加熱調理します。

 よく「死んだ貝は加熱調理しても開かない」と言いますが、殻が開いたり開かなかったりするのは、2つの殻をつなぎ止めている蝶番(ちょうつがい)と貝柱の丈夫さによります。蝶番には殻を開かせようとする性質がありますが、それより強い力で貝柱が殻をつなぎ止めているので、通常は殻が閉じています。これを加熱すると貝柱が殻または身から離れ、殻が開きます。しかし、蝶番が弱かったり壊れているもの、貝柱が非常に丈夫なものは、生死に関係なく加熱しても開かないことがあります。

 アサリは「漁る」から名が付いたという説があるように潮干狩りでも夢中にさせてくれますね。旬を迎えたアサリのおいしさは格別です。いろいろな料理で春を味わいましょう。