Vol.50 食と健康

トレンド再来!? 知っているようで知らない小豆のはなし

 「豆は水につけてから煮るものと思っていましたが、小豆はいきなり煮てよいと聞きました。どうしてですか」「あんこを手作りしたら砂糖の量が多いことに驚いています。大丈夫でしょうか」などのご相談が管理栄養士の窓口には寄せられます。
 日本ではずいぶん前から食べられている小豆。何度となくトレンド入りもしているようです。小豆についてどのようなことを知っていますか。

◆小豆の昔ばなし
 小豆は食べ物が少なかった昔、栄養が豊富で貴重な食材でした。また、小豆の赤い色から厄除けなどの意味合いでも食べられてきました。848年の平安前期に仁明天皇は蔓延する疫病に悩まされ、16種類の和菓子を供えて疫病神を退治する祈願をしたとされています。

◆小豆はどうっやって煮るの?
 小豆は、大豆などほかの豆に比べ皮は硬いのですが、中はでんぷんが多く水を吸いやすい性質があります。そのため加熱して皮が軟らかくなれば、水につけなくても煮上がるのは早いです。
 小豆を水につけると皮が十分に水を吸う前に中が膨らんで、皮が横に切れる「胴切れ」という現象が起こります。すると、でんぷんなどの成分が水に溶け出して、食味が落ちてしまいます。特に、小豆の赤色や形を活かしたい赤飯などの料理は、長く水につけておくと色が抜けてしまうので、水につけずに煮るのが一般的です。
 ただし、収穫してから年数が経った小豆の場合は、浸水した方が早く軟らかくなります。小豆は硬い皮からは吸水せず、胚座(へそ)というところからのみ水を吸うため、十分な吸水に半日から丸1日くらいかかります。

◆小豆は体によいの?
 小豆の主成分は糖質とたんぱく質ですが、栄養成分として期待できるのがビタミンB1とカリウム、食物繊維、サポニンです。
 ビタミンB1は疲労回復や夏バテ防止に効果が期待される成分で、不足すると食欲不振や倦怠感につながります。カリウムは塩分の排泄効果が高いので、利尿作用でむくみや高血圧を予防します。食物繊維は便秘予防や腸内環境を整えてくれます。さらに、小豆の外皮に含まれているサポニンは、カリウムと同様にむくみを予防するだけではなく、コレステロールや中性脂肪を低下させる働きも期待できる成分です。
 ほかにも赤ワインのような色素には抗酸化作用のあるポリフェールが多く含まれています。

◆甘くない小豆ってどんなもの?
 小豆は砂糖を加えてあんこにして和菓子やお汁粉のイメージがありますね。甘さからカロリーが気になる方も多いのではないでしょうか。しかし、小豆は砂糖を加える調理だけではありません。ゆでただけの甘くない小豆は、さまざまな料理に重宝します。例えば、サラダのトッピングやカレーに、炒め物や和え物にとおかずとしても合います。さらにお勧めは、小豆のゆで汁です。小豆水とも呼ばれトレンドになったことがあります。むくみが気になる方はお試しください。

 最近では砂糖ではなく米こうじを使った発酵あんこが話題になりました。優しい甘さはお菓子にも料理にも使えます。ほかにもティーバッグやペットボトルなどで手軽に飲める小豆茶も人気のようです。カフェインゼロで妊娠中やお子さんも安心して飲めると注目されています。小豆の新たな一面を楽しめそうですね。