Vol.41 食と健康

高血圧予防の塩分いろは

 「和食党で塩辛いものが大好きです。塩分の摂りすぎは高血圧につながると聞くので心配です」「日頃よく食べるおかずには、どのくらいの塩分が含まれていますか」「塩分を摂りすぎないために、どんなことに注意したらよいですか」などのご相談が管理栄養士の窓口には寄せられます。
 コロナ禍では手軽に食べられる総菜やインスタント食品、レトルト食品などの需要が高くなっているようです。便利でおいしい反面、塩分も気になります。日々の食生活を見直して高血圧を予防するためのいろはを紹介します。

◆高血圧とは?
 心臓は、毎分4~5リットルもの血液を全身に送り続けています。血圧とは、この血液の流れによって動脈壁にかかる圧力のことです。
 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」の高血圧診断基準は診察室での最大血圧(収縮期)が140mmHg以上、または最小血圧(拡張期)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。また、自宅で測る家庭血圧の場合は、診察室よりも5mmHg低い基準が用いられます。
 高血圧の人の9割以上を占める本態性高血圧の根本治療は生活習慣の改善です。高血圧はサイレントキラーともいわれ、放置しておくと、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、腎不全など大きな病気の引き金になることもあります。

◆塩分は血圧を上げる?
 体内では水分と塩分(ナトリウム)が一定の濃度に保たれています。しかし、塩分を多く摂ると、一時的に高くなった血液中のナトリウム濃度を下げるために、血管内に水分が取り込まれます。これにより血液の量が増え、心臓に送り込まれる血液も増えるため血管の壁にかかる圧力「血圧」が上昇します。高血圧は食塩の過剰摂取のほかに、肥満や飲酒、運動不足、ストレス、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。

◆1日の塩分量はどのくらい?
 「日本高血圧学会」では、1日6g未満の減塩を掲げています。また、「日本人の食事摂取基準2020年版」では、1日の塩分摂取量の基準を男性で7.5g未満、女性で6.5g未満としています。
 一方、日本における成人の1日の塩分摂取量の平均値(平成30年国民健康・栄養調査)は20歳以上の男性で11g、女性で9.3gです。まだまだ塩分を摂りすぎている状態にあるといえるでしょう。
 しかし、いきなり日々摂取している塩分を大幅に減らすというのは、容易なことではありません。まずは、1日9g未満を目指してみてはいかがでしょうか。

◆減塩のコツは?
 和食は低カロリーで栄養バランスが取りやすく、健康食として世界的に注目されています。和食の欠点の一つは、塩、しょう油、味噌などで濃い味付けをする料理や塩を利かせた保存食が多いので、知らず知らずのうちに塩分が多くなることです。
 では、洋食なら塩分が少ないかといえばそうではありません。パンやハムなどの加工品には塩が含まれています。さらに、サラダにかけるドレッシングもたくさんかければ和食と同じように塩分が多くなります。
 おいしい食事を楽しみながら塩分を摂りすぎないためには、日頃よく使う調味料やよく食べるおかずの塩分量を知り、できることから始めるとよいでしょう。
 手始めとして「素材本来の味を楽しんで薄味に慣れる」「味つけや食べ方の工夫をする」さらに「食塩相当量の表示に注意して選ぶ」「ナトリウムを排出するカリウムの多い野菜や果物を食べる」をお勧めします。これらの小さな努力が、5年後、10年後に大きな差を生むはずです。