Vol.35 ハラスメント

職場におけるコロナハラスメント対策

 新型コロナウイルスの感染は拡大する一方です。皆様の周囲にも、感染した方が増えてきているのではないでしょうか。ご自身がそうだという方もいらっしゃるかもしれません。

 既に、コロナハラスメントは問題になっていますが、感染者の増加に伴い、職場内でのコロナハラスメントも増加することが懸念されます。ダイヤル・サービスのハラスメント相談窓口には、これまで職場内でのコロナ感染対策の不備や感染リスクへの意識が低い管理職・従業員の苦情が多く寄せられていました。しかし、最近では「家族の感染で濃厚接触者となり仕事を休んでから、上司に無視されるようになった」「ワクチンの副反応で休んだら、上司から批判された」など、コロナハラスメントと思われる相談も入ってきています。

 厚生労働省は、「…過去に新型コロナウイルスに感染したことを理由として、人格を否定するような言動を行うこと、一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし職場で孤立させること等は、職場におけるパワーハラスメントに該当する場合があります…」(※1)としています。

また、「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ これまでの議論の取りまとめ」には、「…検査陽性や感染を理由とする職場でのハラスメントは…行為者が不法行為責任を問われるだけでなく、会社も使用者として責任を負うことがある…」(※2)とあります。

 ご存じのように、2020年6月1日、改正労働施策総合推進法が施行され、パワーハラスメント対策は事業主の義務となっています(中小事業主は2022年3月31日まで努力義務)。コロナハラスメントはパワーハラスメント、違法行為に該当する可能性のある行為です。事業主は、コロナハラスメントについても対策を講じなければなりません。では、どのような対策が必要なのか、上記取りまとめを参考に考えてみました。

①感染症(感染リスク)に関する正しい知識の普及
②事業主が、コロナハラスメントを許さない。このような時だからこそ思いやり、助け合いが必要という旨のメッセージを発信
③陽性者、感染者への差別・嫌がらせがパワーハラスメントや違法行為に該当する可能性があることの周知
④相談窓口の設置と周知。既にハラスメント相談窓口がある場合には、陽性者、感染者への差別・嫌がらせについても相談して良い旨を周知
⑤相談があった場合には、迅速に対応し、再発防止策を講じる
⑥陽性者、感染者、濃厚接触者(周囲の従業員)へのこころのケア

コロナハラスメントの根底には、死への恐怖心があります。恐怖心を持つのは当然のことですが、恐怖を他者への攻撃に変えずに、思いやり、助け合いで小さくしていくことはできます。収束の見えないこんな時だからこそ、お互いの思いやり、助け合いで、乗り切っていきましょう。

関連リンク

※1 「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)10-問1」厚生労働省

※2 「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ これまでの議論のとりまとめ 令和2年11月」内閣官房

ハラスメント・人間関係ホットライン

パワハラ・セクハラなど各種ハラスメントの相談全般に対応する外部相談窓口