Vol.32 食と健康

更年期の気がかりと大豆食品

Q:更年期で、ほてりやのぼせが気になっています。友人から、更年期の症状には大豆食品を食べるとよいと聞きました。本当でしょうか。

A:更年期にはいろいろな症状が現れ、悩む方は多いですね。確かに大豆食品は、更年期のホットフラッシュと呼ばれる症状、ほてりやのぼせ、発汗を緩和することがあると報告されています。

大豆食品に含まれる「大豆イソフラボン」という成分は、糖の部分が分離した「大豆イソフラボンアグリコン」になるとその化学構造が女性ホルモンの一種、エストロゲンに似ているため、
女性ホルモンと似た作用を発揮します。多くの食品中には大豆イソフラボンとして存在していますが、味噌、納豆などの大豆の発酵食品の中には大豆イソフラボンアグリコンを多く含みます。
ただ、大豆イソフラボンを摂取した場合でも、腸内細菌の作用などにより、大豆イソフラボンアグリコンとなり、腸管から吸収されます。

女性は更年期に入るとエストロゲンの分泌量が少なくなるので、食事全体のバランスを考慮のうえ、大豆食品を適度に摂ることが勧められています。
閉経前後の女性の大豆イソフラボンアグリコンの一日摂取目安量は70~75mgです。
なお、特定保健用食品として大豆イソフラボンアグリコンを食事に上乗せして摂取する場合の上限値は 1日30mgです。大豆食品を継続的に摂取しても、ほてりやのぼせなどが改善しなかったり、
日常的につらいようなら、一度、婦人科や女性外来などを受診して相談しましょう。

昔も今も納豆や豆腐、味噌は私たちの食卓には欠かせない食品です。日々の食事に取り入れることは理にかなっているといえます。
ほかにもお勧めしたいのが、大豆を丸ごと食べられる蒸し大豆です。栄養価はもちろんですが、大豆のうま味とほっくりした甘さがそのまま残っています。
市販品でも出回っていますので、そのままサラダのトッピングやスープにちょい足し、炒め物、煮物など、クセがないのでどんな料理とも相性抜群です。
上手に取り入れて更年期を軽やかに乗り越えたいですね。