Vol.04 コンプライアンス

ハラスメント防止の20年

平成11年4月1日にセクシャル・ハラスメント(以降、セクハラと記載)対策を盛り込んだ「改正雇用機会均等法」が施行されてから、もうすぐ20年になります。当初は、女性労働者のみが対象でしたが、その後の改正で男性労働者も対象となり、さらには、同性同士のセクハラやLGBTの方への配慮も含まれるようになりました。

パワー・ハラスメント(以降、パワハラと記載)についても、平成24年に「職場のいじめ・嫌がらせ問題ワーキンググループ報告」が公開されてから、厚生労働省による、情報サイト「明るい職場応援団」の開設、パワハラ対策導入マニュアルの作成など、国としてのパワハラ対策が進められ、今後は法制化も予定されています。マタニティ・ハラスメント、ケア・ハラスメントについても、「雇用機会均等法」、「育児介護休業法」の改正により、平成29年から、事業主に防止措置が義務付けられることになりました。ゆっくりとではありますが、確実にハラスメント対策は進歩しています。

ハラスメントだけではありません。この20年の間に、虐待、DV、いじめへの対策も進められてきました。平成12年の「児童虐待防止法」施行を皮切りに、平成13年には「DV防止法」、平成18年「高齢者虐待防止法」、平成24年「障害者虐待防止法」、平成25年「いじめ防止対策推進法」と、続々と法律が施行されています。

ハラスメント、虐待、DV、いじめは、長い間、社会から見て見ぬふりをされ、被害者が我慢を強いられてきた暴力です。この20年で、ようやく、隠されてきた暴力が、社会的に明らかになってきました。そのおかげで被害者も、声を上げることができるようになったのです。昨年、スポーツ界や政界のハラスメントが大きな話題となりましたが、20年前ならあり得なかったことでしょう。

ダイヤル・サービスがセクハラの電話相談窓口を開設したのは平成9年。セクハラ対策の法律が施行される2年前のことです。開設してからしばらくは入電が少なく、相談0件という日も珍しくありませんでした。それから徐々に相談件数が増え、女性だけでなく男性からの相談も多くなり、セクハラ以外のハラスメント相談も入るようになりました。ためらいがちだった相談者の口調も、しっかりとした口調へと変化していきました。

相談を受けながら、時流の変化、相談者の意識の変化を感じています。

しかしながら、まだまだ、声を上げることができない被害者は大勢いると思います。誰もが相談しやすい社会となるよう、相談窓口を担うものとして尽力していきたいと思っています。

2019年2月26日up

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