コンプライアンス

コンプライアンス通報窓口には何がある?導入するときのポイントも

1. コンプライアンス通報窓口とは?

コンプライアンス通報窓口とは、社内のコンプライアンス違反に備えて導入する公益通報窓口の一種です。コンプライアンス通報窓口を利用することで、社内の不正や不祥事に気が付いた従業員が一早く内部通報することができます。

コンプライアンス違反などの企業の不祥事は、従業員からの通報がきっかけで明らかになるケースが多く見られます。内部通報制度は、すべての企業が導入・構築しなければなりません。

内部通報制度は、通報者が不利益な扱いを受けないように「公益通報者保護法」によって保護されています。
(出典:消費者庁「公益通報者保護法と制度の概要」

1-1. 通報対象となるコンプライアンス違反の種類

コンプライアンスという言葉には、「法令遵守」という意味があります。企業においては、社内規則や社内マニュアルなどの決まりごと全般がコンプライアンスです。企業が組織活動を円滑に行うには、コンプライアンスの徹底と強化が求められます。

公益通報制度で通報対象となる主なコンプライアンス違反は、下記の通りです。

● 長時間労働
● 賃金未払い
● 横領
● 不正会計
● 個人情報の漏えい
● 談合
● インサイダー取引
● 過労死
● 脱税
● 景品表示法違反
● データ改ざん
● ハラスメント
● ずさんな食品衛生管理
● 利益供与


ただし、上記はあくまで一般的な企業に該当するコンプライアンス違反の種類です。業界によっては、違反項目の幅が広がります。例えば、病院であれば「正当な理由なき診療拒否」「医療事故の隠ぺい」などもコンプライアンス違反に該当します。

コンプライアンス違反は、従業員・競合他社・消費者などさまざまな人や企業に不利益を及ぼすことが特徴です。環境汚染や産業廃棄物の不法投棄など、地域社会問題となるコンプライアンス違反も少なくありません。

2. コンプライアンス通報窓口を設置するメリット

コンプライアンス通報窓口を設置することは、コンプライアンス違反による社会的信用の失墜を最小限に食い止めることにつながります。

コンプライアンス通報窓口を設置するメリットは、次の3つです。

● 社内不正の早期発見
● 社内不正の防止
● 社内外からの信頼性の獲得


ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

2-1. 不正の早期発見・解決に役立つ

コンプライアンス通報窓口の設置により、不正を早期発見しやすくなります。企業や被害を受けている人のダメージを最小限にするには、早期発見と早期解決が重要です。

不正になかなか気付けずにいたり対処が遅れたりすると、耐えかねた従業員が外部に通報またはリークすることも考えられます。行政機関・マスコミ・SNSなどに不正の情報が流れると、社会的信用が大きく損なわれる可能性があります。

不正の早期解決と社会的信用の保持には、コンプライアンス通報窓口の設置が効果的です。

2-2. 社内の不正・不祥事の予防につながる

コンプライアンス通報窓口を設置することで、従業員のコンプライアンス意識の向上が期待できます。社内の不正や不祥事は、少なからず社内外にダメージを与えるため、まずは発生を食い止めることが大切です。

社内全体で「不正や不祥事を許さない」という共通認識を持つことは、コンプライアンス違反の抑止力となります。クリーンな経営を目指すためにも、社内の自浄作用を高めましょう。

2-3. 社内・取引先からの信頼性を獲得できる

コンプライアンス通報窓口を設置するメリットの1つが、社内外からの信頼性の獲得につながる点です。

社内の不正や不祥事に対する企業の対応は、従業員はもちろん取引先やお客様も注目しています。不正や不祥事を起こさないための取り組みやコンプライアンス違反があった場合の対処が適切であれば、従業員は働きやすく、取引先は安心して関係を維持できます。

社内外からの信頼性の獲得は、業績アップや売上アップにも効果的です。

3. 通報を受けたあとの流れは?

従業員からの不正や不祥事の通報を受けた場合は、速やかに適切な対応を取りましょう。実際の対応策をイメージしておくことで、コンプライアンス違反が発覚したとしても慌てずに対処することができます。

通報を受けたあとの問題解決フローは、下記の通りです。

すべての対応が完了したら、同じコンプライアンス違反が二度と発生しないように、再発防止策を講じることも重要です。

4. コンプライアンス通報窓口を設置・導入するときのポイント3選

コンプライアンス通報窓口は、正しく機能しなければ十分な効果が得られません。コンプライアンス通報窓口を社内の不正や不祥事の予防や早期発見に役立てるために、次の3つのポイントを意識しましょう。

● 適切な整備
● 社内への周知
● 研修の実施


従業員が安心してコンプライアンス通報窓口を利用できるように、実際に利用する立場になってシステムを整えることも大切です。

ここからは、コンプライアンス通報窓口の設置・導入を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。

4-1. 外部窓口・内部窓口を整備する

従業員が他の人に知られることなく社内の不正や不祥事を通報できるように、専用のコンプライアンス通報窓口を設置します。通報窓口は、内部窓口だけでなく経営陣から独立した外部窓口も必要です。

内部窓口は、社内の総務部や法務部に設置するケースが多く見られます。外部窓口は、法律事務所や弁護士事務所、窓口代行サービスなどを利用する企業がほとんどです。

通報の主な受付方法には、電話・メール・FAX・ウェブサイトなどがあります。受付方法が複数あると、従業員が利用しやすくなります。

4-2. 各項目を明確化して社内に周知する

コンプライアンス通報窓口を設置・導入したら、従業員に分かりやすく周知することがポイントです。従業員への周知で伝えるべき項目は、下記の通りです。

● 通報窓口の設置目的
● 通報者情報の取り扱い
● 秘密保持の徹底
● 通報後の流れ


従業員にコンプライアンス通報窓口の必要性やメリットが伝わっていない状態では、システムを正しく機能させることは難しいと言えます。また、通報者の秘密がしっかりと守られることや、通報者に不利益となる心配がないことなどもしっかり伝えましょう。

項目ごとにマニュアルや規定を作成して、内容を明確化することもおすすめです。

4-3. コンプライアンス研修を実施する

内部窓口や外部窓口を設置するだけでは、十分な効果を得られない場合があります。社内不正や不祥事の発見から通報までをスムーズに行うには、コンプライアンス研修の実施が必要です。

コンプライアンス研修では、コンプライアンス違反の具体例や内部通報制度について学びます。知識を深めることで、内部不正や不祥事は他人事ではなく、日々の業務に直結することを再認識するきっかけにもなります。

まとめ

コンプライアンス通報窓口の設置には、社内不正や不祥事の早期発見と予防、社内外からの信頼性の獲得などのメリットがあります。コンプライアンス通報窓口の設置・導入するときは、内部窓口だけでなく外部窓口も整備しましょう。

コンプライアンス通報窓口の設置には、「ダイヤル・サービス」の「企業倫理ホットライン」がおすすめです。企業倫理ホットラインでは、通報者のプライバシーを保護した上で、専門相談員が通報に対応いたします。社内のコンプライアンス強化を目指すなら、ぜひ「ダイヤル・サービス」にお問い合わせください。

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