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公益通報とは?外部窓口を設置するメリット・おすすめの依頼先も

1. そもそも「公益通報」とは?

「公益通報」とは、企業内における不正トラブルや違法行為について、従業員が内部通報することを指します。公益通報では、「直属の上司に報告する」などのような従業員の通常の報告ルートとは別に、公益通報窓口を通した報告ルートを設けることが一般的です。

■公益通報制度の概要(例:一般企業)

公益通報制度では、通報した従業員は不利益・不当な扱いから保護されます。社内の不正や違法行為を安心して報告できるため、問題の解決によって透明性や公平性が高く働きやすい労働環境の実現を図れるでしょう。

公益通報制度は、企業側にも大きなメリットのある制度です。社内における不正や違法行為は、事業を行う上でのリスクとなる可能性があります。公益通報に適切に対応し、問題の早期発見・早期解決を図ることで、企業活動上のリスクを最大限回避できるでしょう。

また、適切な内部通報制度が整備されていない場合、不正や違法行為の発見者や被害者が「マスコミや公的機関に内部告発する」という手段を選択する可能性があります。内部告発は、企業のイメージや信用の低下にもつながりかねません。

企業側が公益通報制度を整えることにより、従業員が内部告発しか選択できない状況を改善することができます。自浄作用が働く透明性の高い企業として、社内外から評価されることにもつながるでしょう。

このように、公益通報は通報者となる従業員も企業も守られる通報制度といえます。公益通報に関する法律や導入パターンをふまえた上で、自社に適した公益通報制度を導入することが大切です。

1-1. 「公益通報者保護法」の概要

「公益通報者保護法」とは、社内の不正や違法行為を通報した従業員が不利益な扱いを受けないよう、通報者を保護する目的で2004年に成立・2006年に施行された法律です。この法律が施行されたことにより、以前と比べると公益通報制度の整備や公益通報者の保護が進むようになりました。

一方で、企業が公益通報に適切な対応を行わないケースや、通報者保護が十分に行われていないケースも後を絶ちませんでした。このような背景から、公益通報への適切な対応の確保や公益通報者の保護をより一層推進するために法改正が行われ、2022年6月より改正法が施行されています。

(出典:消費者庁「公益通報者保護法と制度の概要」

1-2. 企業による公益通報窓口の主な導入パターン

企業が公益通報窓口を導入する場合、主に次の3つの導入パターンが考えられます。

■公益通報窓口の3つの導入パターン

内部窓口と外部窓口はそれぞれにメリットがあることから、内部窓口と外部窓口を併用するパターンが最も多いと言われています。内部窓口の整備とともに、外部窓口の設置に向けて検討を進める必要があるでしょう。

2. 【公益通報】外部窓口を設置するメリット

公益通報制度を整備する際に外部窓口を導入することには、主に以下のようなメリットがあると考えられます。

■企業が外部窓口を設置する3つのメリット

● 従業員が匿名で通報できる
● 従業員による公益通報制度の悪用を防げる
● トラブルの早期解決が期待できる


ここでは、上記の3つのメリットについて詳しく確認しましょう。

2-1. 従業員が匿名で通報できる

外部窓口を設けるメリットの1つとして、従業員が匿名で通報できることが挙げられます。他の従業員に通報者の氏名や所属部署などの情報が漏れにくいため、公益通報のハードルを下げられるでしょう。社内問題の早期発見や迅速な対応・解決につながることが期待できます。

一方、匿名性が高いことで具体的な調査が行いにくいケースもあることに注意が必要です。原因の究明や再発防止策の考案が難しくなることもあるため、問題の根本的な解決・改善を目指す場合には、内部窓口に通報してもらうことも検討しましょう。

2-2. 従業員による公益通報制度の悪用を防げる

内部窓口の場合、通報に対応する業務は社内の人間が対応することが一般的です。そのため、窓口の担当者と通報者が結託すれば、嘘の通報で会社や特定の人物に不利益をもたらすことも可能となってしまいます。

一方、外部窓口では社外の人間が通報を受けるため、より公平性の高い判断をしてもらえるというメリットがあります。従業員による公益通報制度の悪用を防ぐことにもつながるでしょう。

2-3. トラブルの早期解決が期待できる

内部窓口における通報受付業務は、人事部や総務部などの部署に所属する従業員が、別の業務と並行して担当しているケースが多く見られます。不正や違法行為を判断し、適切な対応を行える専門家ではない場合がほとんどであるため、迅速な対応が難しいこともあるでしょう。

外部窓口は専門家が通報を受け付けるケースが多いため、より専門性の高い対応を行えることが期待できます。社内の問題をより早い段階で解決に導くことができるでしょう。

一方で、匿名通報などで具体的な調査が難しい場合は、かえって対応や解決が遅くなる恐れもあります。内部窓口も併用し、内部窓口に通報した方がよいケース・問題内容を従業員に周知しておくことが大切です。

3. 公益通報における外部窓口の主な依頼先|おすすめの依頼先は?

公益通報制度における外部窓口の主な依頼先としては、弁護士事務所・法律事務所(企業の顧問弁護士など)や通報窓口の専門業者が挙げられます。法律事務所に依頼するケースもありますが、通報や相談に関する幅広い実績をもつ通報窓口の専門業者のほうが、従業員が相談しやすいことを押さえておきましょう。

外部窓口として依頼できる専門業者は数多く存在します。豊富な経験と確かな実績がある業者の中から、自社に適したサービスを提供している業者を選びましょう。

企業や自治体のホットラインサービスを数多く手がけてきた「ダイヤル・サービス」は、2022年6月施行の改正公益通報者保護法に準拠した外部窓口サービスを提供しています。通報を24時間受け付けており、WEB相談窓口もあるため、就業時間外でも従業員が気軽に通報できるでしょう。

また、「ダイヤル・サービス」における通報受付・相談には、社会保険労務士や産業カウンセラー、公認心理師などの資格を保有したスタッフが対応します。必要に応じて弁護士にアドバイスをもらえるサービスも利用できるため、さらに専門的な対応もできるでしょう。外部通報窓口を設置する際には、ぜひ「ダイヤル・サービス」をご利用ください。

まとめ

公益通報とは、従業員が社内の不正や違法行為を発見した際に内部通報することです。公益通報制度を整備することで、企業側が問題を早期に把握し適切な対応を取れるため、リスクの増大や企業のイメージ・信用の低下を防げるでしょう。

公益通報制度を導入する場合は、社内の事情をふまえた対応ができる「内部窓口」と、匿名性が高く制度の悪用を防げる「外部窓口」の併用がおすすめです。外部窓口を通報窓口専門業者に依頼する際には、豊富な実績と幅広い対応力をもつ「ダイヤル・サービス」にぜひご相談ください。

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