コンプライアンス

内部通報窓口とは?3つの設置パターンと外部委託サービスの選び方

1. 内部通報窓口(ヘルプライン)とは

内部通報窓口(ヘルプライン)とは、社内の不祥事等を発見した従業員からの通報・相談を受け付ける窓口です。発生した不祥事や不正行為を企業が早期発見・早期対応し、被害の防止を図ることを目的として設置します。

もしも内部通報窓口が設置されていない場合、従業員は不祥事や不正行為を発見しても、自身の不利益を恐れてなかなか通報に踏み切れません。企業は発生している不祥事や不正行為を十分に把握できず、不正会計・データ隠蔽・セクハラなどの行為が社内で横行するリスクがあります。

内部通報窓口は、通報した従業員の情報や通報内容を秘密にした上で、当該の不祥事等を調査・是正していく点が特徴です。通報者の特定がされないため、従業員は不利益を恐れず通報を行えます。

平成28年度に行われた内部通報制度の実態調査では、内部通報制度を導入している事業者の割合は46.3%となっていました。また、社内の不正発見の端緒については「従業員等からの内部通報」が58.8%と、従業員からの通報が不正発見に役立っていることが分かります。
(出典:消費者庁「平成28年度民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書」

2022年6月に施行された改正公益通報者保護法では、従業員数が300人を越える企業は内部通報窓口の設置が義務付けられるようになりました。企業は内部通報窓口を設置し、適切に運用していくことが求められます。

2. 内部通報窓口を導入・設置するメリット3つ

内部通報窓口の整備は、従業員数が300人以下の企業では努力義務に留まっています。しかし、内部通報窓口は導入・設置によるメリットがあるため、従業員数が300人以下の中小企業であっても導入を検討しましょう。

以下では内部通報窓口を導入・設置するメリットを3つ紹介します。

2-1. 社内の不正の早期発見につながる

内部通報窓口を導入・設置することで、従業員からの通報を受け付ける体制が整い、社内の不正の早期発見につながります。不正を早期発見すれば早期対応もしやすく、被害が拡大する前に対処可能です。

社内の不正を放置すると、新たな不正が次々と行われる可能性があります。不正の早期発見・早期対応を通して、企業として不正を厳しく是正する姿勢を示し、新たな不正の発生を防げる点もメリットです。

2-2. 社内コンプライアンス意識の向上が期待できる

内部通報窓口の存在を従業員が認識することで、従業員の間で「不正で内部通報されたくない」という気持ちが広がります。不正をしないように気を付ける企業風土が作られていき、社内コンプライアンス意識の向上が期待できる点がメリットです。

社内コンプライアンス意識の向上により、正規の業務手順や法令を遵守する姿勢を持って従業員が働けるようになります。不正を未然に防止するだけではなく、販売する商品・サービスの品質向上や、顧客満足度の向上といったプラスの影響も期待できるでしょう。

2-3. 他企業との取引において有利に働く可能性がある

企業が起こした不正行為や不祥事は、取引先企業の経営にまで影響を及ぼすケースもあります。近年はSNSを介した情報拡散や炎上による評判低下も起こり得るため、企業は取引先が不祥事を起こさないかどうかにも注意しなければなりません。

内部通報窓口を導入・設置すると、コンプライアンス意識が高い企業として社外から信頼されるようになります。内部通報窓口がない競合他社よりも評価されやすくなるなど、他企業との取引において有利に働く可能性がある点がメリットです。

3. 内部通報窓口の設置パターン3つ

企業の内部通報窓口を設置する際は、下記に示す3つの設置パターンがあります。

・社内窓口(自社設置)
・社外窓口(外部委託)
・社内窓口・社外窓口の併用

内部通報窓口をどのように設置するかは運用にかかる手間やコスト、従業員の通報しやすさにかかわるため、違いを把握した上で決定しましょう。

3つの設置パターンについてそれぞれの詳細やメリットを紹介します。

3-1. 社内窓口(自社設置)

社内窓口(自社設置)とは、社内に設置する内部通報窓口です。平成28年度に行われた内部通報制度の実態調査では、通報窓口の設置場所として「社内のみに設置」と回答した企業は全体の32.1%となっていました。
(出典:消費者庁「平成28年度民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書」

社内窓口の設置場所は、一般的に総務部・人事部などの管理系部門や内部監査部門です。設置した部門内で担当者を決定し、運用も自社で行います。内部通報窓口の運用にかかるコストを抑えられる点が社内窓口のメリットです。

ただし、規模が小さい企業では社内窓口の担当者がほとんどの従業員と顔見知りのケースもあります。従業員によっては顔見知りの担当者に相談できず、通報を躊躇してしまう可能性もある点に注意してください。

3-2. 社外窓口(外部委託)

社外窓口(外部委託)とは、弁護士事務所や専門業者に外部委託して設置する内部通報窓口です。通報窓口の設置場所として「社外のみに設置」と回答した企業は全体の7%となっていました。
(出典:消費者庁「平成28年度民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書」

企業の外に存在する社外窓口は、従業員にとって不正を通報しやすい場所となります。内部通報窓口の設置目的である「不正の早期発見」につながりやすい点が、社外窓口のメリットです。

また、社外窓口では通報の受け付けを外部の相談員が担当します。企業の事情に深く関わらない第三者を通すことにより、通報者の匿名性確保や通報内容についての公正な判断を期待できる点もメリットです。

3-3. 社内窓口・社外窓口の併用

先に説明した社内窓口と社外窓口をどちらも設置し、内部通報窓口としてともに併用する方法です。通報窓口の設置場所として「社内外いずれにも設置」と回答した企業は全体の59.9%を占めています。
(出典:消費者庁「平成28年度民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書」

社内窓口・社外窓口の併用は、従業員が不正を通報できる環境をより多く用意できる点がメリットです。また、通報者への聞き取りや不正の調査を社内窓口と社外窓口が連携して行い、緻密な通報対応を取れるメリットもあります。

社内外いずれにも内部通報窓口を設置する企業が多い点からも分かるように、社内窓口・社外窓口の併用はメリットが多い方法です。内部通報窓口の設置パターン3つの中では、社内窓口・社外窓口の併用が最もおすすめと言えます。

4. 【内部通報窓口】外部委託サービスの費用・選び方

内部通報窓口を社外に設置する場合は、外部委託サービスの費用と外部委託先の選び方を把握しましょう。

まず、外部委託サービスの費用は一般的に月額制です。基本となる料金プランが設定されているケースはほとんどなく、どのようなサービス・オプションを組み入れるかによって月額制の金額は大きく変動します。費用を明確にするためには、見積もりを取った上で適切な金額を出してもらわなければなりません。

外部委託先を選ぶ際は、委託する業者が「何を強みとしているか」や、「相談員の保有資格」をチェックしましょう。通報対応の専門性が高ければ高い業者であるほど、従業員からの通報があった際により迅速かつ正確な対応を行ってもらえます。

まとめ

内部通報窓口は従業員からの通報を受け付ける窓口であり、従業員数が300人を越える企業は設置が義務付けられています。不正の早期発見などメリットも多いため、設置が努力義務である企業も導入を検討しましょう。内部通報窓口は社内窓口・社外窓口の併用がおすすめです。

「ダイヤル・サービス」では、内部通報に適切な対応ができる外部委託サービスを提供しております。窓口は電話・Webのどちらにも対応しており、通報・相談はカウンセリング系の資格を保有する専門家が対応いたします。内部通報窓口の外部委託をご検討の方は、ダイヤル・サービスにぜひご相談ください。

コンプライアンス研修の詳細はこちら

コンプライアンス通報窓口の詳細はこちら

企業倫理ホットライン

健全な企業活動を守るためのコンプライアンス通報窓口