Vol.15 特定事例・事件

四谷大塚講師による盗撮事件:詳細と背後にある問題点

2023年8月30日

今年8月、教育界を揺るがす大きな事件が発生しました。中学受験進学塾の四谷大塚に勤める20代の男性講師が、判明しているだけで11人もの小学生の女児を盗撮し、その映像や情報をSNSで公開していたことが報道されました。この記事では、事件の詳細や四谷大塚の対応、そして背後にある問題について解説します。

事件の背景

四谷大塚は、多くの生徒や保護者から信頼を寄せられている教育機関です。そんな中、このような事件が発生したことは驚きをもって受け止められました。報道によれば、20代の男性講師は、自らが教える小学生の女児を、特に下半身を狙って盗撮し、その映像や児童の名前や住所、小学校、電話番号等の個人情報を、小児性愛者が集まるSNSグループで十数人と共有していたとのこと。その上で「自宅近くで待ち伏せすれば会えるかも」など、犯罪を教唆するような書き込みも行っていました。

この行為は、教育者としての職務を大きく逸脱したものであり、本人の卑劣な犯行やコンプライアンス意識の欠如が非難されているだけでなく、そのような人物を雇用していた企業側の責任も問われています。

発覚後の講師の反応

男性は集英社オンラインによる直撃取材に対し、SNSの小児性愛者仲間から脅迫されていたと主張しましたが、その真偽は不明です。しかし、自身の行動について、SNSでの評価や承認を求めていたことは伺えます。

また、逮捕前に直撃を行った取材班に対しては犯行を全面的に認めて謝罪の意を示したものの、翌朝には写真や動画を共有していたグループにて犯行動画が保存されているハードディスクの預かり先を募るなど、反省の色は見られませんでした。

四谷大塚の対応と今後の取り組み

四谷大塚は、この事件を非常に重く受け止めています。講師は懲戒解雇され、事件は警察に通報されました。さらに、8月17日に四谷大塚が発表した再発防止策では、塾業界では初となる、保護者が授業の様子を確認できるライブモニタリングシステムを全教室に導入することが発表されました。導入には3カ月ほど要しますが、それまでは講師をもう1人教室に常駐させ、2人体制で授業を行うこと、教師・スタッフによる写真や動画が撮影可能な機器の教室への持ち込みを禁止することも決定されました。また、社員や非常勤講師、アルバイトスタッフ等の採用過程において、心理テストなどを活用し、より厳格な選抜を行うことも発表されました。

四谷大塚のこの事件は、教育界における信頼の問題を浮き彫りにしました。教育者としての職務を果たす上で、どのような心の持ちようや対応が求められるのか、再び考える機会となりました。

なぜ起きたのか?事件の背後に潜むコンプライアンス意識の欠如

この事件の要因の一つに、コンプライアンス意識の欠如があるでしょう。

第三者の目がない不透明な環境で、一講師がいつでも生徒に性加害を行うことが可能な環境を作っていた塾側の責任は否定できません。全国学習塾協会では、そのガイドラインにおいて、「業務監督責任者は、業務日報、映像、教室巡回等の方法により、学習塾教職員を監督する」ことと定めています。四谷大塚は協会会員ではないためこの対象ではありませんが、講師への監視体制が万全であったかに関しては疑問が残ります。また、塾で起こり得るトラブルは今回のような性加害だけではなく、講師から生徒へのパワハラや、生徒同士のトラブルなど多岐に渡ります。これらを未然に防ぐためにも、常に外部の目がある透明性の高い環境をすることが重要でしょう。

また、従業員のコンプライアンス意識の向上施策も欠かせません。今回の事件では元講師による生徒の個人情報漏洩が大きな問題となりましたが、この行為の悪質さと、それによって生徒が受ける被害がどれだけ大きなものかを今一度確認する必要があるでしょう。

最後に

被害に遭った子どもや保護者の心情を考えると言葉もありません。このような被害に遭われた方は、専門機関でのケアを行うことがとても重要です。また、犯罪の起きにくい状態を作る企業側の努力や対策も必要です。密室や閉ざされた環境で外部の目がないと、犯罪に対するハードルが下がってしまうことは否定できません。環境面での再発防止への取り組みを、可能な限り当社がサポートできればと思います。

ダイヤル・サービスの取り組み

・不正の通報窓口外部委託サービスで、不正の早期発見と防止を
当社が様々な企業様から受託をしている外部相談/通報窓口サービス(ホットラインサービス)には、従業員が行う不正や犯罪に類する相談や通報が入ります。

企業の内部の窓口は相談するにはハードルが高く感じることもあり、利用の足が遠ざかると、今回のように甚大な被害を生んでしまうようなこともあります。外部窓口を設置することで、より相談通報がしやすい環境を作ることができ、不正や不法行為を早期に検知・対策することが可能になるほか、そのような環境が不正・不法行為をけん制し、予防する効果も期待できます。

また、このような世間をにぎわすような問題を起こした際の危機対応については、当社と契約している著名な弁護士のサポートを受けられる付帯サービスもございます。

・コンプライアンスに関する研修で、従業員の意識の向上

様々な通報・相談実績があるため、それを活かした具体的なコンプライアンス研修を行うことも得意としています。コンプライアンス違反を犯してしまう方は、自分の行為が周囲にどれほど大きな影響を与えるかが想像できていないケースが多々あります。その結果、企業担当者が思っている以上に不正へのハードルが低く、安易に不正を犯してしまうケースもありました。

特に研修については、正社員のみではなく、非常勤やパート、アルバイトの方への研修も必要とされています。最近では会社と契約しているフリーランスの方にもコンプライアンス研修を行う企業も増えてきました。また、時間や予算が取れない方に向けては、安価なテスト付き動画研修を販売しております。

面接等を通じて適切な人物を採用することも重要ですが、研修を通じ、既に採用されている従業員のコンプライアンス意識を正し、向上させることにも大きな意義があると私達は考えます。

参考サイト

公益社団法人全国学習塾協会. 「学習塾に通う子どもの安全確保ガイドライン」. 2006年3月

四谷大塚. 「元社員不祥事に関する再発防止対策について」. 2023/8/17

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