導入事例
大倉工業株式会社
事業内容
各種ポリエチレン製品及びポリプロピレン製品の製造販売、光学機能性フィルム等の製造販売、パーティクルボード、加工ボード及び加工合板等の製造販売、木材加工、宅地造成及び建物建築の販売
導入サービス
ホットライン利用対象人数
1,967人
製造現場のリスクを自社で改善へ。大倉工業が育ててきた22年の通報制度
香川県に本社を置く大倉工業株式会社は、合成樹脂フィルムや建材製品などを手掛ける加工メーカーです。製造業として品質や安全性への責任を果たすとともに、コンプライアンス体制の強化にも早くから取り組んできました。
同社では2004年、まだ内部通報制度やコンプライアンスの考え方が十分に浸透していなかった時代から社内外に通報窓口を導入。以来、人間関係やハラスメントに関する相談だけでなく、製造業にとって重要な品質に関する課題の早期発見・改善にも活用してきました。
今回は、制度導入の背景や運用の工夫、ダイヤル・サービスへの評価についてお話を伺いました。

製造現場の課題を見逃さないため、相談できる仕組みを大切にしています
コーポレートセンター サステナビリティ推進部 法務・知財部
法務課長
香西大孝様
外部通報窓口を導入された背景にはどのような経緯があったのですか。
当社は、「従業員を守り、社会に役立つ」という創業の精神に基づき、コンプライアンス経営を推進することを目的として、2004年にコンプライアンス・プログラムを策定しました。コンプライアンス・プログラムのもと、役員で構成するコンプライアンス委員会と、各事業部のメンバーで構成するコンプライアンス実行委員会を設置しています。委員会で決定した方針をもとに、社内への周知や教育活動を継続的に行っています。
内部通報窓口については、2004年にコンプライアンス・プログラムを策定したのと同時に導入しました。当時は今ほどコンプライアンスという考え方が社会に浸透していたわけではありません。地方では、内部通報制度を導入している企業もまだ多くなかった時代だったと思います。
一方で、ハラスメント問題が少しずつ注目され始め、長時間労働なども課題として認識されつつありました。当社としても、そうした課題への対応が必要な時期だったのではないかと思います。
何より大きかったのは、当時の経営トップの考え方です。「会社として世間から信頼される企業経営をしよう」ということを打ち出したのが当時の社長です。コンプライアンス・プログラム規程の整備とあわせて内部通報窓口も導入され、現在のコンプライアンス体制の礎になっています。
通報内容や利用状況に変化はありますか。
一貫して多いのは、人間関係を背景としたハラスメントや職場環境に関する相談です。近年はハラスメントの定義そのものが広がり、以前は職場の問題と認識されていなかったことがハラスメントとして扱われるようになるなど、社会の変化が通報内容にも反映されていると感じます。
件数については、当社規模の企業として適正な範囲だと考えています。極端に通報件数が少ない場合、本当に問題がないのか、それとも声を上げられていないだけなのか分かりません。ある程度利用されているということは、従業員が制度を認識し、必要な場面で選択肢として活用できている状態だと捉えています。
制度を浸透させるためにどのような取り組みをされていますか。
ポスターやカードの配布に加え、法務部門で作成したコンプライアンス啓発のためのマガジンを毎月発行しています。マガジンはイントラネットを通じて全従業員へ配信しており、内部通報窓口についても毎号継続的に案内しています。制度は導入しただけでは浸透しません。従業員が必要なときに思い出せる状態を維持することが重要だと考えています。そのため、他にも社内報など複数の媒体を活用しながら、継続的に制度の存在を伝えています。
さらに、eラーニングやコンプライアンス教育にも内部通報制度に関する内容を組み込んでいます。私が社内テストを作成していた頃は、必ず内部通報制度に関する問題を一問は入れるようにしていました。制度を知ってもらうだけではなく、自分ごととして考えてもらう機会をつくりたいという思いがあったからです。

ダイヤル・サービスのどのような点を評価されていますか。
非常に心強い存在だと感じています。私たち法務担当者は、相談を受ける専門職ではありません。通報者には、深く傷ついた方もいれば、怒りを抱えながら連絡される方もいます。そのような状況で適切なコミュニケーションを行うには専門的な知識や経験が必要です。相談員の皆さまがその役割を担ってくださることで、私たちは事実確認や再発防止といった本来取り組むべき業務に集中することができます。
また、報告書の質の高さも評価しています。通報内容だけでなく、その後の調査や面談を進めるうえで参考になる情報が整理されており、新しく担当になった社員の育成にも役立っています。報告書そのものが実務の教材になっていると感じています。
印象的に残っている通報はありますか。
過去には品質に関する通報が寄せられたことがありました。検査に関する内容で、製造業にとっては重大なリスクにつながる可能性のある案件でした。通報を受けて品質保証部門とも連携しながら調査を進め、大きな問題になる前に改善につなげることができました。
製造業において品質は企業の信頼そのものです。その意味で、問題が大きくなる前に社内で把握し、自ら改善につなげられたことは非常に意義が大きかったと感じています。
"製造業において品質は企業の信頼そのものです。その意味で、問題が大きくなる前に社内で把握し、自ら改善につなげられたことは非常に意義が大きかったと感じています"
香西大孝様
今後の制度運用についてどのようにお考えですか。
公益通報者保護法の改正もあり、通報者保護の重要性はますます高まっています。当社では従来から実施している周知活動に加え、各拠点で行う勉強会の機会を活用しながら、制度改正のポイントや内部通報制度の利用方法について直接説明する取り組みを進めています。今後も従業員が適切に制度を利用できる環境づくりを続けていきたいと考えています。
最後に導入を検討中の企業へメッセージをお願いします。
専門の相談員が通報を受け付け、丁寧にヒアリングし、分かりやすい報告書としてまとめてくださいます。社内だけで運用していると、担当者の負担や対応品質の面で限界を感じる場面もあると思います。そのような課題を感じている企業にとって、有力な選択肢になるのではないでしょうか。