Vol.189 その他

3つの「きく」をうまく活用し、今よりも少しだけこどもの声をきく<親子の幸せ時間をつくろう>

 みなさんも子育てをする中で「こどもの話をきくことは大切ですよ」と言われた経験が1度はあるのではないでしょうか。「傾聴」という言葉があるように、電話相談においても、「きく」ということは相談の基本であり、大切な相談の一歩となるものです。最初の5~10分でいかに「きく」ことができるかで、その後の相談内容の深まりや相談者の相談終了時の満足感が大きく変わってきます。

 この「きく」には、大きく「聞く」「聴く」「訊く」の3種類あると言われています。自然と耳に入ってくる声を拾っていくような「聞く」に対して、「聴く」「訊く」の2つはより気持ちを相手に傾けて自ら声を拾いにいくイメージを持っていただくとわかりやすいかもしれません。

 学校や園での様子が気になり、帰宅したこどもに「学校(幼稚園、保育園)どうだった?」「楽しかった?」「何をしたの?」等と、矢継ぎ早に次々と質問していませんか?こどもから「なんでもない」「いつも通り」等と素っ気ない返事が返ってきて、落胆することはありませんか?

 この時、こどもの中では「話したい、きいてほしい」という気持ちはどこかに置き去りになり、上記のような素っ気ない言葉や「うん」「大丈夫」等の言葉に置き換わってしまっているかもしれません。その結果、保護者の「あまり話してくれなかった」という感想につながり、それが積み重なると最近「こどもが何も話してくれない」「何を考えているかわからない」に至ると考えられます。日本財団が2023年9月に発行した「こども1万人意識調査報告書」でも、「家庭でこうなったらいいなと思うこと」等の中で、10%のこどもが「親にもっと自分の話を聞いてほしい」を選んでいます。話したいこどもと話してくれないと思っている保護者のすれ違いが起きていると言えるかもしれませんね。

 保護者の「訊きたい(質問したい)」気持ちを一旦横に置いて、一呼吸置き、こどもが一生懸命「あのね、あのね」と話そうとしている気持ちや「ママ(パパ)きいて」という言葉を受けとめ、こどもの目を見て、耳と心を傾ける時間(傾聴の時間)を持ってみませんか?きっと今まで聞きたかったこどもの気持ちを「聴けた」と思える瞬間が訪れるはずです。今日から始められる「『聴く』から生まれる親子の幸せ時間」実践してみてくださいね。

■筆者
ソーシャル電話相談員  和泉薫
一般社団法人てとらぽっと(https://www.instagram.com/cafe_tetora/?hl=ja)代表