Vol.37 ハラスメント

自殺とその防止策

 厚生労働省によると、令和2年の自殺者数は21,081人、対前年比で912人(約4.5%)増加しています。月別自殺者数は10月が最多で2,230人、2月が最も少なく1,464人でした。職業別自殺者数は、無職者の次に多い被雇用者・勤め人が6,742人で、前年より540人増加しています。この傾向は今年も続く可能性があります。

 自殺は、ひとつの原因だけで発生するものではなく、多様かつ総合的な原因が連鎖して発生します。ダイヤル・サービスのメンタル相談窓口にも、「死にたい」と言う相談が入りますが、その件数は増えています。コロナ禍の影響で、仕事が激減、失業、今後に不安を感じて転職を繰り返す「勤務問題」がある方々は、収入が不安定となって「経済・生活問題」も発生し、中には多額の借金を抱えてしまう方もいます。

 ですが、勤め人の方の「死にたい」気持ちの相談を受けていると、「勤務問題」以外の個人的要因がきっかけとなっていることが多いように感じます。身近な家族やペットが亡くなり悲嘆するのは「家庭問題」です。交際相手との関係が修復できずに失恋に至るのは「男女問題」です。重い病気、回復が難しい病気を抱える「健康問題」では、絶望的な気持ちになり治療を中断してしまう方もいます。また、具体的な理由なく、ただ漠然と死にたい気持ちを長年持ち続ける方もいます。生きづらさを感じているのかもしれませんが、それを言葉で表現することは難しそうです。

 これらの個人的要因がきっかけとなって気持ちが落ち込み、心理的に追い詰められると、仕事にも影響が及びます。仕事に集中できずミスを連発したり、遅刻や早退、無欠勤が増えたりする「勤務問題」が発生します。うつ病などの「健康問題」を抱える方は、正常な判断を行うことができない状態に陥ります。

 在宅勤務や外出自粛などの影響で、社会とのつながりが減少し、相談する相手がいない方は少なくありません。自殺や死の話をすることはタブーだと思い、一人で抱え込んでいる方もいるでしょう。個人的な悩みは、つながりの欠けた職場では相談しにくいものです。そのため、職場は従業員本人とその家族を守るために、うつ病の症状や自殺の危険性が高い兆候を見逃さないことが重要です。

 「死にたい」と直接的な表現をする方もいますが、「消えてしまいたい」「楽になりたい」「(亡くなった)親(配偶者)(恋人)の元に行きたい」「生きている意味が分からない」「自分なんかいなくなったほうがいい」など、死にたい気持ちを間接的に表現する方もいます。行方不明になったり、身の回りの整理をしたり、病気の治療を中断したりなども自殺の危険性が高い行動です。

 このような兆候が見られた場合は、相手を否定することなく、今、何が辛いのか、その気持ちや感情を受けとめましょう。早急な精神科の受診も必要です。医師には、自殺の危険性があることを伝えてください。そして、本人を一人にさせないことです。職場からの帰宅時は職場の人が送り届けるか、家族に迎えにきてもらうなどすると安心です。

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