「THP(心とからだの健康づくり)指針の改正」について

 令和3年2月、THP指針が改正されました。「THP」とはトータル・ヘルスプロモーション・プラン(Total Health promotion Plan)の略称で、今から30年以上前の昭和63年に厚生労働省が策定した「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づいた、労働者の心身両面にわたる健康づくりを推進するための取組です。

 コロナ禍ということもあり、大きなニュースとしては取り扱われませんでしたが、働く人の心身を取り巻く環境が大きく変化した今、健康増進のための新たな指針が打ち出されたことは大変意義のあることだと思います。

 今回は、改正後のTHP指針の特徴と、取り組む際の留意点について、新たに作成された「職場における心とからだの健康づくりのための手引き」を参考にお伝えします。

 

 改正ポイントは次の3つです。

 〇 従来の労働者「個人」から「集団」への健康保持増進措置の視点を強化

 〇 事業場の特性に合った健康保持増進措置への見直し

 〇 健康保持増進措置の内容を規定する指針から、取組方法を規定する指針への見直し

 

 

 改正後の指針では、すでに生活習慣上の課題がある労働者個人を対象にする「ハイリスクアプローチ」だけではなく、今は課題のない労働者、さらにはより良い状態を目指している労働者の集団も対象に含む「ポピュレーションアプローチ」の視点が取り入れられています。

 また、職場環境は事業場によって様々です。業種・働き方の特性に応じて適切な取組がなされないと十分な効果が得られません。手引きの中では、各事業場の業種や従業員数、活用できる資源の有無などに配慮した具体的な取組事例が複数紹介されています。

 さらに、労働者の高齢化を見据えた取組の中に、高齢期における「ロコモティブシンドローム※1」「フレイル※2」「サルコペニア※3」などの新しい用語も出てきています。

 

 今回のTHP指針の改正については、職場の健康づくりを担当する方はもちろんのことですが、事業場内の健康保持増進対策を進める上では、多くの従業員の理解が不可欠です。長く続くコロナ禍で、従業員の心とからだは大きなストレスにさらされています。今後の健康保持増進対策を進める際の参考にしてください。

 

※1 年齢とともに骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で「立つ」、「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態

※2 加齢とともに、筋力や認知機能などの心身の活力が低下し、生活機能障害や要介護状態などの危険性が高くなった状態

※3 高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象のこと

 

参考:職場における心とからだの健康づくりのための手引き

   ~事業場における労働者の健康保持増進のための指針~(厚生労働省)