心を整理して悪循環から抜け出そう

 ダイヤル・サービスに入った、ある日のAさんからの電話相談です。

「仕事に必要な資格を取るための試験が1か月後に迫っています。これまで忙しくてまともに勉強できませんでした。いや、忙しいなんて言い訳です。同僚は忙しい中でも勉強を進めています。先輩方も同じ状況で合格しています。私も頑張らなきゃと思うんですが、今から頑張っても合格できないんじゃないか、自分一人合格できなかったら上司に怒られるんじゃないか、と思うと勉強に集中できません。自分はダメな人間です。情けないです…」(※)

 

 Aさんは、否定的な考えや感情にとらわれてしまい、身動きが取れなくなっているようです。このようなとき、Aさんにどのように声をかけてあげたらよいでしょうか。

「そりゃあ不安になるよね。お茶でも飲んで気分転換すれば」「忙しかったんだからしょうがないよ。今からでも大丈夫。頑張れ」「悩んでいる時間がもったいない。1問でもいいから過去問を解きなさい」など、なぐめて、励まして、現実的なアドバイスをする、Aさんを思いやる気持ちからであれば、全て意味のある発言です。

しかし、Aさんの心が否定的な考えや感情でいっぱいになっていると、意味のある発言であっても、受け入れる空間がありません。何を言っても「でも…」と拒否されたり言い訳されたり…。Aさんの心には入っていかないでしょう。そういう場合には、まず、Aさんの心の整理を手伝いましょう。物が散乱している部屋を整理すると、部屋の中にある物が見やすくなります。また、何もない空間ができて新たに物が置けるようになります。心もそれと同じです。

 

 Aさんの言うことを整理していくと、「試験日が近づき、合格できないのではないかと焦り不安になる」⇒「集中できず勉強が進まない」⇒「焦りと不安がより大きくなる」⇒「集中できず勉強が進まない」という悪循環が見えてきます。悪循環が見えたということは、考えや感情の整理がつき、悪循環との間に空間、つまり「心のゆとり」が生まれたということになります。

「心のゆとり」が生まれると、悪循環のどこを、どのような方法で断ち切るかを考えることができるようになります。過去の似たような状況を乗り越えた方法を思い出して試したり、勉強を止めて気晴らしをするなど、これまでにやったことのない方法を試したりしてもよいでしょう。

 心の整理は聞き上手な人と話しながら行うと効率的ですが、一人でもできます。悪循環に陥っていないか、図を書きながら考えてみてもよいでしょう。なにかに行き詰まったとき、心の整理をして空間を作ることを意識してみてくださいね。

 

※Aさんの相談は、実際の相談を加工して作成しています。