東北の味~凍み豆腐~

 

東日本大震災から10年ですね。以前、被災地復興支援の催しで、凍み豆腐を買ってきました。藁(わら)で縛ってあり手作り感が気に入りました。いつも使っている高野豆腐とは食感が違っていたのを覚えています。呼び方以外にも違いがあるのでしょうか。地元ではどんな食べ方をしていますか。

 


 

 

 

「凍み豆腐」や「高野豆腐」は作られ始めた地域によって呼び名が違っていました。

凍み豆腐は寒さの厳しい東北地方ならではの特産品です。藁(わら)で数個ずつ縛り、山のふもと一面に干される凍み豆腐は、地域では冬の風物詩となっています。手仕事ならではのぬくもりが感じられて、手に取られたのでしょうね。

 

 

鎌倉時代に高野山の僧侶が豆腐を一夜冬の寒気で凍らせたものは「氷豆腐」として伝えられました。これを発展させて現在に近い製品にしたものが「高野豆腐」と呼ばれ、高野山信仰とともに関西から広まりました。一方、信州や東北地方で冬の農家の保存食として発達し、戦国時代に兵糧食として広まっていったのが「凍み豆腐」と言われています。製法として乾燥の仕方に違いがありますが、ほぼ同じ食品と言えます。この2つの呼び名を統一し、現在は品質表示基準で決められた正式名称として「凍り豆腐」または「こうや豆腐」「しみ豆腐」とされています。

 

凍結と天日干しを、幾度も幾度も繰り返す伝統的な製法の凍み豆腐は、弾力ある独特な食感が生み出されます。反面、硬く下ごしらえに少し手間がかかります。戻し方は60℃くらいのたっぷりの湯に落としぶたをして20分程度浸ておきます。水気を含んだら軽くしぼり、湯を取り換えて浸し、これを2~3回繰り返します。一般的な高野豆腐はこの下ごしらえの手間を短縮し、軟らかく煮上がるように加工してあります。

 

戻した凍み豆腐を使って地元では、煮しめや汁物はもちろん、炒め物や卵とじ、五目ずしなどさまざまな料理の具材として活用しています。中でもしっかりとした食感をいかした揚げ煮もお勧めです。戻した凍み豆腐の水を切り、片栗粉をまぶして油で揚げます。揚げたあと、熱湯をかけてから、少し濃くやや甘めの煮汁で煮ます。まわりのつるっとした食感、コクのあるうまみが味わえます。寺ではお坊さんたちの活力源にもなるそうです。

 

藁(わら)で縛った古来製法の凍み豆腐は年々生産が減ってきています。手にする機会がありましたら、ぜひその食感をお楽しみください。