モラハラとパワハラの違い

職場で発生しやすいハラスメントに、パワー・ハラスメント(パワハラ)やセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)がありますが、最近ダイヤル・サービスのハラスメント相談窓口には、モラル・ハラスメント、いわゆるモラハラの相談が増えています。

厚生労働省によると、2018年度に全国の労働局に寄せられた職場での「いじめ・嫌がらせ」相談が82,797件あり、調査以来、過去最高という結果が出ました(※1)。この「いじめ・嫌がらせ」の中には、パワハラだけではなく、モラハラに該当するものも含まれているかもしれません。

モラハラはフランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌが提唱した言葉で、「精神的な」というフランス語の「モラル」と、「嫌がらせ」という意味の「ハラスメント」を組み合わせたのが語源です。つまり、モラハラとは「精神的な嫌がらせ」、言語や態度によって、相手を精神的に苦しめたり、傷つけたりする行為です。

窓口では「職場で○○をされました。この行為は、パワハラですか? モラハラですか?」という質問をいただくことがあります。私たち相談員は、ハラスメントかどうかを判断する立場ではありませんが、話を聞く限りでは、どちらとも取れるようなケースが多くなってきました。しかし、この2つのハラスメントには大きな違いがあります。

パワハラは優越的な関係に基づいて行われる身体的・精神的な行為です。立場の上の人から多くの人の前で暴言を吐かれたり、ときには暴力を振るわれたりすることもあるため、周囲から見てもパワハラが起こっていると感じやすいのが特徴です。

一方、モラハラは立場の優位性は関係なく行われる行為であり、身体的な苦痛はなく、精神的に追い詰められる行為です。人が見ていない個室などで陰湿に行われやすいため、周囲の人は気づきにくく、また話しても理解してもらえません。被害者自身も、自分に非があるのではないかと自らを責めてしまう人が多いのも特徴です。

モラハラに該当する行為にはどんなものがあるのでしょうか。窓口に相談された例をご紹介します。

・挨拶しても返事が返ってこない

・飲み会などの社内イベントに呼ばれない

・発言をさえぎられる

・業務上必要な連絡をしてもらえない

・プライベートに立ち入られ、プライバシーを周囲の人に言いふらされる

・処理しきれない膨大な仕事を押し付けられる

・担当していた仕事を奪われ、することがない

・些細なミスを繰り返し注意される

職場のモラハラは、実態を確認するのが難しいものです。今後は企業の方針やガイドラインを万全に準備しておくことが、適切なモラハラ対処のために重要になってくるでしょう。


※1 厚生労働省「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」