性の多様性を考える

2020年。オリンピックイヤーですね。オリンピック憲章では、人種や性別など「いかなる種類の差別」も禁止されており、その中に「性的指向」も含まれています。2019年4月に施行された「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」でも、「都、都民及び事業者は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いをしてはならない」としています。

「性自認」「性的指向」と言うと、「LGBT」という言葉が思い浮かびます。「LGBT」は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字で、性的マイノリティを表す言葉です。近年では、「おっさんずラブ」「きのう何食べた?」といったゲイのカップルのドラマが人気を呼びました。世の中の「LGBT」への認識が、少しずつ変わってきているのを感じます。

ところで、「LGBT」以外にも、性について、「SOGIESC」という表現があるのをご存じでしょうか。「SOGIESC」は全ての人を対象としており、次の4つの要素で性を表現します。

 

1.SO(Sexual Orientation)性的指向。好きになる相手の性です。異性、同性、男女両方、性別にこだわらない、性的な関心を向ける対象がないなど。
2.GI(Gender Identity)性自認。性別に対する自己認識です。男性、女性、男女どちらでもない、男女どちらの要素もあるなど。「Gender(性役割)」をどうとらえるかにもよりますが、男女の要素をパーセンテージで考えた場合、自分は100%男性(女性)であると感じる人より、「男性90%、女性10%」「女性60%、中性30%、男性10%」など、複数の要素を持っていると感じる人の方が多いかもしれません。

3.E(Expression)性表現。自分の性をどう表現するか、ということです。男らしい、女らしい、中性的など、性自認や性的特徴にかかわらず、服装や言葉遣いは様々です。

4.SC(Sexual Characteristics)性的特徴。生まれもった身体の性です。男性、女性だけでなく、性に関わる身体の状態が典型的な男性、女性とは異なる人もいます。

 

4つの要素の組み合わせである「SOGIESC」で性を考えると、性がいかに多様なものであるかが見えてきます。性的マイノリティなどというものはなく、一人ひとりが違うのだということに気付かされます。

 

2019年5月、パワーハラスメント防止対策を義務化する法律が成立しました。現在、厚生労働省では、法律の施行に向けて、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(案)」(※1)が検討されています。そこでは、「性的指向」「性自認」に関する侮辱的な発言や、本人の了解を得ずに「性的指向」「性自認」を暴露するアウティングが、パワーハラスメントの例として挙げられています。

電通ダイバーシティ・ラボの「LGBT調査2018」では、LGBT層は8.9%(20人中1~2人)という結果となっています。私達は、知らず知らずのうちに、本人を前にして侮辱的な言動をしている可能性があります。自らの言動を振り返り、「LGBT」に対する心無い発言をしないように気を付けましょう。

 

※1「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(案)について【概要】」1月上旬告示予定

※参考書籍:「職場におけるLGBT・SOGI入門」(特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ)