社内ハラスメント相談窓口担当者の苦労

もしあなたが、突然の人事異動で、経験したことのない「ハラスメント窓口」の担当者に任命されたらどうしますか?「うわー、どうしよう、嫌だな」と拒否的な気持ちになるでしょうか。それとも、「よし、やるぞ!」とやる気がわいてくるでしょうか。いずれにせよ、初めてのことで戸惑うことと思います。

弊社では、人事部やコンプライアンス部などの相談窓口担当者の方々を対象にした研修を行っています。研修では、ハラスメントの基礎知識や相談窓口の体制などを理解し、担当者としての心構えを習得します。特に、相談者の真意を引き出す「聴くスキル」のロールプレイングでは、どなたも真剣に取り組まれます。このような研修に参加した方々の日々の業務の苦労をうかがうと、共通点がいくつかあるようです。

一つめは、「他者理解の難しさ」です。相談者は自分が理不尽な思いをしたことを誰かに話を聞いてほしいと相談してきます。これまで耐え忍んできたことを一気に吐き出すように話すため、長時間に及ぶこともあります。ある受講者の方は「3時間も話が続いて、夢に出てきた」と苦労話をしていました。長時間の相談対応は集中が途切れ、相談者の気持ちを汲むことはもちろん、内容を理解することさえ難しくなります。そうなると、相談者のことをわかろうとする気持ちも削がれ、拒否反応さえ生まれることもあるでしょう。

二つめは、「自己理解の難しさ」です。相談者の話が「外国語に聞こえてきた」という感想をもつ方もいます。自分の価値観からはずれた話を聴くことは、初めて訪れる外国に足を踏み入れたような感覚になるかもしれません。その経験は、自分の価値観を見直すきっかけなると同時に、足元が揺らぐようで不安になったり、初めての体験にとまどう自分に違和感を抱いたりするかもしれません。

三つめは、「相談の展開が読みにくい」ことです。「『この人は、いったい何を言いたいのだろう?』と頭に疑問符を浮かべながら聴く辛さが、怒りに変わる」と言う方もいます。長いトンネルの中で双方が情緒的に交わることなく手さぐり状態が続く状態は、心理的な負担も大きくなります。

 

このように、窓口担当者の方の負担ははかり知れません。ハラスメント相談では、「あの人の行為はハラスメントではないか」「行為者への処罰を求める」といった相談に対して、安易な発言は禁物です。不適切な最初の対応により大問題に発展することもありえます。そのため、相談者の中で複雑にからまっている「事実」と、その事実を自分がどのように「受け止め(考え)」、その時どのような「気持ち」になったのかを区別して聴くことが大切です。

 

弊社の研修では、実際に相談の対応をしている講師がグループワークなどを通して「聴くスキル」のポイントをお伝えします。上記の苦労に一つでも共感した方は、研修に参加してみてはいかがでしょうか。