ワーク・エンゲイジメント

働き方改革から健康経営の推進といった最近の動きの中で、企業の経営戦略の一つとして、従業員の心身の健康への投資が重要だとする認識が広まりつつあります。ワーク・エンゲイジメントもそのような気運の中で注目されている概念です。

厚生労働省平成30年版「労働経済の分析」の中で、ワーク・エンゲイジメントとは「仕事に誇りや、やりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)の3つが揃った状態として紹介され、ワーカホリズムやバーンアウトとの違いが説明されています(※1)。

最近の研究結果(※2)では、ワーク・エンゲイジメントが心だけでなく、身体の健康とも高い相関があることを示しています。また、ワーク・エンゲイジメントの高い人は、創造的なアイディアを出したり、積極的に行動したりする傾向が強く、組織への愛着も高いため離職率が低いこともわかっています。

では、従業員のワーク・エンゲイジメントを高めるにはどうしたらよいのでしょうか。

私たちは仕事の負荷が高い時にストレスを感じます。ただ、それが自分の目標に合った成長の機会となり、成し遂げるための力となる資源(例えば、上司のポジティブな声かけ、先輩、同僚のサポートなど)が充実していれば、感じるストレスは低くなります。つまり、成長を促す仕事の資源を増やすことが重要です。同時に、個人の中にある自分に対するポジティブな感情(自尊感情)も、ワーク・エンゲイジメント向上に大切であることが指摘されています。

 

個人や組織の強みを見つけ、それをしっかり伝え返しながら、個人の希望や目標に添って、強みを活かした力を発揮できるよう促す。職場でそのようなことができたら、従業員のワーク・エンゲイジメント向上の一助となりそうです。そのために、ストレスチェックの組織分析を用いて各部署の強みを見つけたり、EAPカウンセラーを利用して個人の希望や強みをサポートしたりといった取り組みも考えられます。例えばダイヤル・サービスでは、カウンセラーが定期的に職場に赴き、だれでも気軽に話ができる環境を作っている企業もあります。業務に限らず話を伺うことができるため、仕事の枠を超えた個人の強みに気づく機会となります。聞き取った声を参考に、企業側担当者と連携して職場改善に取り組むこともできます。

ワーク・エンゲイジメントは、従業員の健康を守ることと生産性の向上が、同じ方向にあることを示しています。考え方を取り入れて、より多くの人がいきいきと働き続けられる職場を目指してみてはいかがでしょうか。

 

※1 厚生労働省 平成30年版 労働経済の分析-働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-第Ⅱ部第3章 働き方の多様化に応じた「きめ細かな雇用管理」の推進に向けて

※2 Q&Aで学ぶワーク・エンゲイジメント できる職場の作り方/編集代表:島津明人 (金剛出版)