怒りへの対処

自分や他者の怒りの感情に悩まされるというのは、多くの方に共通するテーマのようです。怒りや憎しみ、疑いなど、誰の心にも起こる感情ですが、とても不愉快で、心がふさぐ思いがするものです。

怒りを扱いにくくしているのは、怒りを怖がっていることと、その感情をどう表現すれば良いかわかっていないことが大きな要因です。表現せずに自分の中にため込んでしまえば、次にどこかで爆発するか、自分が燃え尽きてしまうか、になってしまいます。そうならないために、自分の怒りに適切に対処することは大切なスキルです。

注意すべきは、怒りという感情は「出てきてはならない悪者ではない」ということです。人間として生きる上で、怒りはごく自然な感情であり、大切な機能を持っています。その機能とは、①何か問題が起こっていると知らせる、②問題に対して対処するための活力を与える、ことです。

 

怒りは“2次感情”と言われています。例えば、人から馬鹿にされたと思った時、怒りの裏には、「この人にこんなことを言われたくない」と傷つき、悲しんでいたり、「攻撃された」「嫌われたら孤独だ」と恐怖を感じたりする自分がいます。それら“1次感情”は、自己愛や自己存在感が脅かされていることを教えてくれます。

怒りの背景を探ろうとすると、自分では認めたくない感情と向き合わざるを得ません。しかし、自分の怒りを理解し、心の奥の声に気付いてあげられれば、怒りの習慣から抜け出すこともできるのです。

2つの機能を生かすために「健全な怒り」について知っておくことが、怒りを感じた時の助けになります。(※1)

 

【健全な怒りとは】

  • ●怒った際は、感情にまかせず、慎重に考えて行動を選ぶ
  • ●攻撃的表出によって脅して相手を動かすのではなく、どうして欲しいのかを相手がわかるように伝える
  • ●目標は、怒りを表すことではなく、問題を解決することにある
  • ●怒りは一時的なもの。問題が解決すれば消えうるもの

 

職場では、怒りはパワーハラスメントにもつながるため、慎重な扱いが求められます。しかし、怒りは人として当然の感情でもあります。怒りを感じたら、そのメッセージに耳を傾け、機能の恩恵を受け取りましょう。そのために少し時間を取って自分の怒りを振り返ってみてください。

 

※1 「アンガーマネジメント11の方法 怒りを上手に解消しよう」(ロナルドT.ポッターエフロン/パトリシアS.ポッターエフロン著)金剛出版