ストレスチェックの現状と求められる職場環境改善

ストレスチェック制度が施行されてもうすぐ3年が経とうとしています。厚生労働省研究班による調査から、制度の課題が垣間見えてきました。

 

この制度は、労働者自身が自らのストレス状況を把握すると共に、組織は集団分析の結果を受けて職場環境を改善することで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するという、主に一次予防を目的として創設されました。しかし、ストレスチェックを行った企業の内、集団分析の未実施率は約50%と高いものでした。さらに、集団分析を実施した43%の企業の内、分析結果を職場環境改善に活用しなかった企業は3割に達し、一次予防に十分に活用されていない実態が見えてきました(※1)。どこから取り掛かれば良いかわからない、時間やマンパワーに限りがある、従業員のモチベーションを高められない、ストレスチェック提供事業者が職場改善にまで関わっていない、など、改善を阻む様々な要因が考えられ、ハードルの高さが想像できます。
それでも、職場環境改善を行う企業は着実に増えており、労働者のメンタルヘルス不調の予防、さらには生産性の向上にも一定の効果があることが示されています(※1)。

 

また、ストレスチェックの高ストレス者はそうでないグループと比べ、長期疾病休業に至りやすいことが示されています。そのため、高ストレス者をスクリーニングし支援につなぐ早期の介入が望まれます。国が推奨する基準によって高ストレス者と判定されたのは、男性で5.6%、女性では15%でした。ところが、医師による面接指導を受けたのは全体のわずか0.6%(※1)。結果を個人に返却するだけでは早期介入にはつながらないこともわかりました。今後は医師面接を受けやすい環境作りも必要です。

 

職場環境改善のためには、集団分析結果を「見える化」して社員間で意識を共有することも有効です。意識を持つだけで個人の行動が変わる可能性もありますし、労働者間で問題提起し合い、アイディアを募ることもできるでしょう。実際に環境が変わったら、「自分の声が届いた」とモチベーションがアップするかもしれません。職場に第三者の目が入ることで、問題解決の糸口がつかめる可能性もあります。
厚労省研究班が出している「職場環境改善スタートのための手引き」(※2)には、実際の職場環境改善の取り組みから見えてきた成功の秘訣などが載っていますので是非ご確認ください。皆様の職場が、より働きやすい環境になるための具体的行動に向けて、少しでもハードルが下がればと思います。

 

※1 平成27-29年度 厚生労働科学研究費補助金 労働安全衛生総合研究事業

「ストレスチェック制度による労働者のメンタルヘルス不調の予防と職場環境改善効果に関する研究」(H27-労働-一般-004)(主任研究者 川上憲人)

※2 「ストレスチェック制度を利用した職場環境改善スタートのための手引き」

(※1 ※2ともhttp://www.jstress.net に掲載)