キャリア形成とメンタルヘルス

相談の場面において、キャリアに関する問題がストレス反応やメンタルヘルス不調の原因になっているケースが数多く見受けられます。
例えば、部下の指導育成が上手くいかず管理職としての自信を失っている方、入社前に思い描いていたものとかけ離れた業務を任されて辞めるかどうか迷っている新入社員、 「役職定年制度」のため管理職から外され不平不満をこぼす50代など、世代も内容も多岐にわたっています。その中には、偏頭痛や腹痛、不眠といった症状を伴う方もいます。

 

実際、5年ごとに厚生労働省が実施している「労働者健康状況調査」の2012年調査(注1)の結果でも、「定年後の仕事、老後の問題」と「仕事への適性の問題」に対して不安や悩み、ストレスを感じている労働者の割合はどちらも2割を超えていました。
また、義務化された「ストレスチェック制度」で推奨されている「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」の中には、「仕事のストレス要因」として「技能の活用」、「「適性度」、「働きがい」といったキャリアに関する項目があります。

 

厚生労働省は、キャリア形成を積極的に支援する専門家として、2016年に「キャリアコンサルタント」の国家資格化に踏み切りました。2024年度末までに10万人養成することを数値目標としています。 その140時間に及ぶ講習カリキュラムを見てみると、半分以上はカウンセリング技能習得のために費やされ、メンタルヘルスに関する知識も習得が義務付けられています。

 

働く人のキャリアとメンタルヘルスの問題は密接に関係しており、それらは相互に影響し合っています。「ワークライフバランスがうまくとれない」、「昇格できない」、「病気休業後復職したが、閑職になりやりがいがもてない」などの働き方に関する問題を一人で抱え込むと、食欲不振や不眠、頭痛や腹痛など身体的なストレス反応が出ることがあります。 それらは業務におけるパフォーマンスに影響し、さらにストレスを抱えるという悪循環に陥ることになります。

 

身体的な症状が今の仕事や将来に対する悩みからきている場合には、身体の問題として医療機関を受診すると同時に、キャリアコンサルタントに相談をしてみるのもひとつの方法です。 人生の各時期において生じるさまざまな問題や課題に対してどう処するか、そしてそれらにポジティブに向き合っていけるかが問われている昨今、ぜひキャリアコンサルタントを気軽に活用してみてはいかがでしょうか。

 

参考資料;「『キャリアコンサルタント』が国家資格になりました」
(企業向けリーフレット‐厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000173476.pdf

 

(注1)平成24年労働者健康状況調査(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h24-46-50.html