女性の活躍推進における課題とハラスメントの共通点

女性の活躍の機会は拡がっている一方で、国際労働機関のデータでは、日本の女性管理職比率は欧米など諸外国に比べ相当低いことが示されています。(※1)
職場において、あからさまな男女差別は減少傾向と言えますが、女性が男性と同等の地位につかないのはなぜでしょうか。

 

先頃、人事データの分析により、上司が悪意なく無意識に行っていることが、女性の育成や昇進昇格の妨げになっている可能性が示されました。(※2)

 

これまで一般的に女性の離職率は男性と比べて高かったため、企業は女性の育成への投資や、昇進昇格に慎重になり、また、女性には「無理をさせないように」との「気遣い」が働いて、負荷の少ない業務を与える傾向が認められました。

さらに、実情として「上司」の大半が男性であり、女性よりも男性部下とコミュニケーションを取る機会が多く、共有される情報に男女差が出ます。 つまり、女性には大きな成果を出す機会や成長の機会、そして十分な情報が与えられていない、とみることができます。この差が、昇進昇格に影響していると感じる女性従業員がいても不思議ではありません。

 

上記は特定企業の分析結果ですが、上司が良かれと思って「忖度」したことが、部下にとっては差別的に感じたり、ハラスメントだと受け取られたりする可能性は、どのような組織にもあるでしょう。
しかし、悪意があろうとなかろうと、受け取る側にとっては切実なハラスメントになりえます。にもかかわらず、周りの人はハラスメントとは認識しにくく、見過ごしたり、「気にしすぎ」と感じたりすることも少なくありません。 これでは改善されないどころか、対応した上司や会社への不信が募り、孤立感を深め、人間関係が悪化してしまいます。

 

「悪意なきハラスメント」を生まないためには、「忖度」ではなく「言語化」することが大切です。お互いに意思表示・確認をし、希望や意向を伝え合うことで、齟齬を減らせます。 また、仕事の価値観やキャリアプラン、ライフスタイルは人それぞれです。統計的なデータや経験にとらわれずに、今目の前にいる個人と向き合う柔軟性も必要でしょう。 性別に関わらず、すべての人にとって活躍の機会はあり、ハラスメントはない職場環境を作っていきましょう。

 

※1 国際労働機関(ILO)、2015年、「Women in Business and Management GaininG MoMentuM」

http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/—dgreports/—dcomm/—publ/documents/publication/wcms_334882.pdf

 

※2 大湾英雄、2017年、「日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用」日本経済新聞出版社