パワーハラスメント予防のための取組とその効果

4月28日、厚生労働省から「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(※1)が発表されました(以下パワハラと記載)。 前回調査(平成24年度)と比べると、「過去3年間にパワハラを受けたことがある」と回答した人が25.3%から32.4%に増えています。 パワハラを受けたと答えた人の相談先としては、「家族や社外の友人」が20.3%で最も多く、次いで「社内の同僚」16.0%、「社内の上司」12.7%となっています。 残念なのは、「何もしなかった」と答えた人が40.9%もいることです。ただ、パワハラへの取組を実施している企業が45.5%から52.5%に増えていますので、今後、誰もが安心してパワハラの相談ができる職場環境になっていくことを期待したいものです。

 

企業が実施している取組を見ると、「相談窓口を設置した」が82.9%で最も多く、「管理職を対象にパワハラについての講演や研修を実施した」が63.4%、「就業規則などの社内規定に盛り込んだ」61.1%と続いています。 そして、これらの取組の中で最も効果を実感できたのが、「管理職を対象にパワハラについての講演や研修を実施した」74.2%で、続いて「一般社員を対象にパワハラについての講演や研修を実施した」69.6%となっています。 講演や研修は効果がある、と考えている企業が多いようです。

 

研修(※2)の効果は、従業員を対象とした調査結果にも表れています。 管理職等(※3)に対し「パワハラに関連して気を付けていること」を尋ねた項目では、全ての選択肢において、研修を受けた人の方が受けていない人よりも言動に気をつけているという結果になっています。 例えば、研修を受けたことのある人の約70%が「パワハラと言われることをしないよう注意している」と答えているのに対し、研修を受けたことがない人では34.1%でした。また、研修を受けた人の約60%が、「部下、同僚の気持ちを傷つけないように言い方や態度に注意している」のに対し、受けていない人では32.9%でした。 研修が従業員のパワハラに対する意識を高めることは明らかなようです。

 

また、予防・解決のための取組の実施事項が増えるほど、そして取り組む期間が長くなるほど、「管理職の意識の変化によって職場環境が変わる」、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる」等の効果も得られる、という結果が出ています。 研修を含む複数の取組を長期間行うことが、理想のパワハラ対策と言えるかもしれません。

 

※1 「平成28年度 厚生労働省委託事業 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」東京海上日動リスクコンサルティング株式会社
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11208000-Roudoukijunkyoku-Kinroushaseikatsuka/0000164176.pdf
※2 パワーハラスメント、上司の部下への接し方等、職場におけるコミュニケーション活性化等に関する講演・研修・講習等
※3 管理職及び非管理職で指揮命令している人が1人以上いる者