声かけの意味

2015年末より義務付けられたストレスチェックには、自分自身の状態に気づくきっかけとし、セルフケアを促進するという側面があります。 しかし、セルフケアだけで労働者のメンタルヘルスが保たれるわけではありません。ラインケアや事業場内外のフォロー体制と一体となって、初めて機能するものです。

 

それでは、上司が部下のケアをするラインケアの骨子はなんでしょうか?

 

ひとつは、部下の健康やパフォーマンスの変化に「気づく」こと。 2つめは、部下が相談をしやすいように普段から積極的に「声かけ」をすること。 最後に、問題が起こった時に必要な部門や医療などにつなげる「連携」をすること。 もちろん、どのアクションも大事なのですが、もっとも大切であり、かつ難しいのは「声かけ」ではないでしょうか。いくら部下の変化に気づけたとしても、普段から声をかけ、信頼関係を築いていなければ、部下は上司のいうことを聞くことができず、ましてや受け入れることなど困難で、必要な部門や医療につなぐことも難しくなってしまうかもしれません。

 

そこで、「声かけ」の本質を探ってみましょう。

 

交流分析という理論の中に、ストロークという言葉があります。 ストロークとは「存在を認める、そのための働きかけ」という意味合いがあります。 直接触れる身体的なストローク、表情やジェスチャーなどの非言語的なストローク、そして「ありがとう」、「おはよう」など、言葉で表現する言語的なストロークなどに分類されています。

 

そして、人にはもともと『認知飢餓』という、他者から認められたいという欲求があるといわれています。 そのため、職場でもストロークが足りない状況が続くと、不満が溜まったり、被害感を覚えたり、孤立感を深めたりしてしまい、良好な人間関係を築けなくなることが起こり得るわけです。

 

「声かけ」とは、「言葉に出して語りかけること」と捉えられがちです。 しかし、部下をケアするという観点から考えると、「表情や視線、身振りや雰囲気など、すべてを使い相手の存在を認める行為」と言い換えることができるのではないでしょうか。 これはラインケアに限らず、私たちの普段の人間関係、つまり家族や友人、同僚との付き合いでも同様でしょう。 日々、何気ないところからでもストロークを送り、「相手が自分の存在を認識してくれている、尊重してくれている」と感じられるような、温かく安心感のある関係を築いておきたいものですね。