「受診」への迷い

先日、ある相談者様から「新しい仕事を始めた。頑張ってはいるがミスが続き、仕事中に頭痛や吐き気がするようになった。食欲もなく、夜中に何度も目が覚めてしまう。朝は憂うつで出勤するのがとてもつらい。この程度でも受診したほうがいいのだろうか。もっと頑張ったほうがいいのだろうか」というご相談がありました。
このように受診すること、あるいは、部下や同僚、家族などに受診を勧めることを迷う方から相談を受けることがあります。
カウンセラーは医療の専門家ではありませんので、病気かどうか判断したり、受診について指図したりすることはできませんが、どうして迷っているのかをお伺いし、一緒に考えさせていただくようにしています。

 

迷いの根底にあるのは、「心の病」に対する恐れではないかと感じています。 「心の病」は、あるときには神聖なものとして、あるときには呪いのようなものとして恐れられてきました。
現在、「心の病」は医療の対象となる病気として理解されていますが、私たちの心の中にはまだまだ神話的とでも言うべき「恐れ(畏れ)」が残っているように思います。 
「心の病気」について「仮病じゃないか」、「意志が弱い」、「気力の問題」などと言うのは、恐れに対する反動形成なのかもしれません。

 

受診を迷う相談者様から「受診すると本当に病気になってしまいそうで怖い」という言葉を聞くこともあります。まるで病院に行くと呪いをかけられてしまうかのように恐れていらっしゃるのです。 
私たちカウンセラーは、相談者様の恐れを受け止めつつも、そのような恐れが現実的ではないことに気づいていただくようにしています。
例えば「このまま何もしないでいたらどうなると思いますか?」とお尋ねするだけで「仕事に行けなくなると思います。そうですよね・・・」と気づかれる場合もあります。

 

「恐れ」は危機に対する能力であり、生存に必要不可欠なものですが、目を背けたり放っておいたりすると増大してしまいます。

 

最近、心療内科・精神科は予約がとりづらいと聞きます。我慢に我慢を重ね症状が重くなり、限界を超えたところでやっと病院に行く決心しても、すぐに受診できない可能性もあります。「恐れ」をちょっと脇におき、他の病気と同じように早めの受診・早めの治療を心がけることが、速やかに心身の健康を取り戻すことにつながります。
迷ったときは、非現実的な恐れから解放され、気持ちの安定を得るためにも、受診を視野に入れてみてはいかがでしょうか。