危機介入-わたしたちにできること

3月は年間を通じてもっとも自殺者数が多い月です。内閣府は毎年3月を自殺対策強化月間に設定し、国、地方公共団体、関係団体及び民間団体等が連携して啓発活動を推進しています。あわせて、悩みを抱えている人が、啓発事業にふれ、援助を求めたときに、必要な支援を受けられるような取り組みも(重点的に)実施されています。 今年のスローガンは、「みんなが、誰かのゲートキーパー」です。「ゲートキーパー」とは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図ることができる人のことです。いわば「命の門番」とも言えるでしょう。

 

「生きていくイラスト自信がない」とか「もう死にたい」とつぶやく身近な方に対して、適切な対応なんてとてもできない、と思われるかもしれません。実際、精神的・社会的問題や生活上の問題、健康上の問題など深刻な悩みを抱えている目の前の人に対して、できることは限られています。わたしたちが「ゲートキーパー」としてできることは、ギリギリの所でなんとか踏ん張っているその方の存在に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、そして見守ること。それだけで充分なのです。

 

他の動物より力が弱く、早く走れず、空も飛べない人間が、厳しい環境においても(有利に)生存することができたのは、高度なコミュニケーション能力で家族や仲間との強い絆を保つことができたおかげかもしれません。その人間にとっての一番の恐怖は「孤独」ではないでしょうか。他者や社会との結びつきや助け合いを失い孤立することは、生存の危機を意味します。どれだけ世の中が便利になっても、人は生きるために人を必要とするのでしょう。

 

同時に私たちの体には、生きるためのプログラムが組み込まれています。何も食べないでいるとお腹が空くのも、疲れてきたら休みたくなるのも、暗闇で不安になるのも、一人でいるとさみしくなるのも全て、生きるためのプログラムが機能しているからだといえます。私たちの心と体は生きたがっているのです。 とはいえ、つらいときや悩み苦しんでいるときに、「死にたい」気持ちになるのも自然なことです。死にたい気持ちを否定するのではなく、そのしんどさに寄り添いましょう。

 

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年度末で忙しい3月ですが、多くの方が亡くなった東日本大震災が起きた月でもあります。生きることの意味、命とは何か、改めて考える機会にしてみてはいかがでしょうか。そしてあなたを生かしてくれる、周囲の「ゲートキーパー」の存在に気づいてみましょう。