職場復帰が難しい理由

 うつ病などメンタルヘルスの不調で会社を休職した社員の42.3%が、休職制度の利用中や職場復帰後に退職しているとの調査結果を、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」(東京・練馬)が発表しました。 調査は2012年11月に実施され、メンタルヘルスやがん、脳疾患、糖尿病などによる病気について、休職制度の有無や期間、退職・復職の状況などを5904社が回答しています。 調査結果によると、過去3年間にメンタル不調を理由に休職制度を利用した社員の退職率は、全疾病平均の37.8%を4.5ポイント上回っています。

 

 また、メンタル不調者の退職率は休職制度の上限期間が短い企業ほど高い傾向があり、上限が3カ月までの場合は、59.3%が離職。2年6カ月超3年までの企業では29.8%で、2倍の差があった、という結果も出ています。 さらに、復職後に短時間勤務などの「試し出勤」や、産業医面談などのフォローアップを実施していない企業の退職率も実施企業より高かったとのことです。

 

 休職の際に「○か月の休養を要す」という診断書が出されることがあります。この「○か月の休養」というのは、病気の治療のために必要な期間であって、実際には働けるようになるための期間がさらに必要です。 3か月の休職では働けるような状態にまで至っていないため退職するケースが多い、ということが上記の調査結果から読み取ることができます。

 

 一方、人事の方から、休職期間終了間近の方が、主治医からの「復職しても良い」との診断書を持ってきたけれども、本当に復職できる状態かどうか心配である、という相談を受けることがあります。 主治医が、休職者の業務の内容や職場の状況まで考慮して「復職可」としているとは考えにくく、人事の方が心配されるのも当然のことだと思います。「病気が良くなった」ということと「働くことができる」とはイコールではありません。 復職判定のポイントはやはり、「定められた時間に支障なく仕事ができるか」、というところです。そのためにも、客観的なデータに基づいた複数の職場関係者(産業医、人事担当者、直属の上司など)による合議での復職判定が不可欠です。

 

 一般的にメンタルヘルスでは「治りかけが一番危ない」と言われています。復職して2~3週間で具合が悪くなり、一か月くらいで休んでしまうようになったケースでは、やはり復職にはまだ早すぎた、ということになります。 本人や家族の復職に対する意向が強く、復職の際のハードルを下げ過ぎてしまうことは、本人のためにもなりませんし、会社としてもリスクを負うことになります。 回復の度合いをしっかり見極め、本当に働くことができるのか確認するためにも、主治医からの診断書に頼らず、リワークプログラムの利用も含めた多くの材料を用意して復職判定に臨むのがよろしいかと思います。

 

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