ギヤを落とそう(チェンジオブペース)

 ご相談に来られる方の多くは、人事異動や昇進をきっかけにメンタルヘルス不調に陥った、とおっしゃられます。また、入社して1~2年目で体調を崩される方の中には、社会人としての生活環境に上手に適応できなかったという方が数多くいらっしゃいます。

 

 新しい環境を迎えるにあたり、「頑張ろう」という前向きな気持ちと同時に、「出来るだろうか」「大丈夫だろうか」という不安も出てきます。わからないことや知らないことを前にして不安になることは、むしろ当然の反応です。

 

 このような状況においては、慣れ親しんだ今までのやり方を続けていくことが、かえって心や体にとって負担となることがあります。自動車を運転されたことのある方なら、長い トンネルを走っているうちに、上り坂になっていることに気づかず、いつのまにか速度が落ちてしまったことを経験されたことがあると思います。これと同じようなことが私たちの体にも起こっているのです。
 たとえて言うなら、自転車で平坦な道を走っているときに、急に目の前に坂道が現れたようなものです。同じ力で漕ぎ続ければ当然速度は落ちてきます。しかし、坂道でも同じ速度を維持しようとすれば、さらに力を入れて漕がなければなりません。しばらくは同じ速度で走り続けることはできるでしょうが、やがて疲れてきてスピードも落ちてきてしまうでしょう。さらに、終点が見えず坂道がいつまで続くのかわからないような時は、気力も萎えしまいます。

 

 年度の初めから頑張ってきた疲れや緊張が一時的にピークを迎えるのが、5月の大型連休GWです。そこで上手にリフレッシュできれば、また改めて走り出すことができます。しかし、休むことができず、気分転換ができなかったときは、疲れや緊張を残したまま、再び走り出さなければならなくなります。それがいわゆる「五月病」の原因のひとつでもあります。

 

イラスト

自動車のオートマチック機能であれば、坂道にさしかかれば自動的にギヤを下げてくれますが、人間の心と体はそうはいきません。ぜひ疲れ切ってしまう前にペースを落として、その間に新しいやり方を模索して、次第にそれに慣れていくようにしましょう。