病気が教えてくれること

 先日、うつ病で休職していた方が、職場に戻られてから初めてカウンセリングにいらっしゃいました。相談に来られた理由は以下のとおりです。

 

 「今は順調にいってはいるが、いつまた具合が悪くなるか、もしそうなったら最悪だ。それを考えると不安で仕方がない。この先、自分の病気が完全に治るということはもうないのだろうか。それが聞きたい。」ということでした。
 その方は、職務のプレッシャーと長時間の時間外労働からうつ病を発症し、休職と復職を何度も繰り返すたびに自信を失っていらっしゃいました。現在は症状も落ち着いて、お仕事もある程度は順調にこなせているとのことでした。

 

 (状態が良ければ良いで、悪くなった時のことを想像してしまう。うつ病になる前の自分に戻りたい)
 うつ病から職場復帰された方の多くは、このような考えを常にお持ちでいらっしゃいます。確かに、つらくて苦しい時期を何とか乗り越え、やっと回復したと思ったらまた具合が悪くなってしまった、ということを繰り返せば、自信を失い、もうだめなのではないかと思われるのは、ごく当然のことです。良くなったときでも常に不安が付きまとう、そのお気持ちは良くわかります。

 

 そこで先ほどの方に、「もし病気になる前の状態に戻れたら、また同じことをされるということはないですか」と質問しましたところ、その方は、ハッとした表情で「確かにそうかもしれない。同じことを繰り返すような気がする」とお答えになられました。

 

 うつ病をきっかけに、改めて「自分自身を知った」ということを経験された方も多くいらっしゃいます。うつ病になったからこそ知り得たものがあるはずです。また、うつ病を発症したときと同じ状況を作らない、というのも再発防止にとても大切なことです。

 

イラスト

うつ病に限らず病気は誰もが避けて通りたいものです。しかし、病気が教えてくれることに目を向ければ、今の自分の正直な姿が見えてきます。病気を心と体からのサインとして受け取り、それをありのまま素直に受け入れることが、再発防止への第一歩になるのではないかと思います。